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救世主

オエッ…ゲボッ… 気持ち悪い…… ナースコールを押そうと思って手を伸ばしたが届かず、諦めようとした時に扉が開き、看護師さんが慌てたように数人入ってきた。 看護師「勇人君大丈夫?」 看護師「吐く前にナースコール押していいんだよ?」 勇人「おぇ……グスン…ゔぇ…」 『吐いちゃったんだって?』 ボンヤリとしていてよく見えなかったけど、黒のスクラブを着た若くて小顔な先生が声をかけてきた。 勇人「グスン……っ……」 「当直の佐藤です」 …佐藤先生…… 佐藤「立てる?ベッド戻ろう」 口調が柔らかくて安心する。 佐藤「あれ、これ抜けちゃってるね」 バルーンのコードが抜け、中の空気も完全に抜けてしまっていた。 勇人「ごめんなさい!泣」 佐藤「なんで謝るの?」 勇人「加藤先生からコードが抜けちゃうからベッドで安静にしててって言われてたの忘れちゃってた。 抜けたらお仕置きって言われたから気をつけてたのに……」 佐藤「お仕置きされちゃうの?A班相変わらずスパルタだね。 でもこれは仕方ないと思うよ?明日A班の先生には事情俺から伝えておくから心配しないで」 勇人「……グスン…うぇ…」 佐藤先生の優しさに涙が止まらなくなってしまった。 佐藤「そんな泣く?笑。大丈夫だよ それで、吐き気は治まった?」 勇人「ぅん……グスン…。」 佐藤「なんで気持ち悪くなっちゃったの?」 勇人「腰がギシギシ痛くなって、お尻も……それで……グスン…っ…グスン…」 佐藤「……もう限界だった?」 勇人「げん……かい……泣」 佐藤「そうだよね」 アゴに手をあてながらタブレット端末を眺め考え始めた。 佐藤「なるほどねー。 バルーンはねぇ、明日の朝まではやっぱり挿れておいた方が勇人君のためになるから挿れなおそうと思うんだけど もう夜中だし、朝まで眠れた方が痛みを感じないし、辛い想いをしなくて済むと思うんだよねー。 痛み止めと眠りやすくする薬使おうか」 勇人「使いたい」 佐藤先生に全て委ねたい…… この苦しみから少しでも解放されたい。

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