91 / 536

入室

【元サイド】 看護師「元君おいで」 この扉を跨いでしまったら地獄が始まる。嫌だ……入りたくない 元「一回散歩させて」 看護師「お散歩さっきもしたでしょ?」 元「お願い!外見たい!」 この部屋窓ないから太陽の光を浴びる事も夜空を眺める事も出来ない。ホントに無機質な空間で気が滅入る 加藤「入り口で何してるの?早く入りな」 お尻をポンと叩かれ、軽々と後ろから抱えられ中へ入れられてしまった。 …………。 ガシャン 鍵が閉まる音がして、呆然と立ち尽くした。 看護師「元君立ってないでベッドおいで」 久しぶりの集中治療室……。 怖い…… 奥の処置イスで今までされてきた治療が蘇ってくる…… このベッドも…手足固定するヒモも…監視カメラも…何も変わっていない。 怖い…… 看護師さんに促されるがままベッドに座った。 看護師「もう少ししたら先生来るからね? 横なっていいよ?」 元「座ってる……」 看護師さんが荷物をロッカーにきれいに片付けてくれ、部屋から出て行った。 扉が閉まると本当に静か……治療したくない… ガシャン 鍵開き、加藤先生が入ってきた。 加藤「あれ、座ってる。横なってていいよ」 元「座ってたいの」 加藤「あーそう。 今日この後の予定なんだけど、点滴の針挿れて点滴始めるから、点滴中は安静。その後に処置があるから森田先生来てくれるから」 森田先生か……。てか処置ってなんだし。 元「何するの」 加藤「持続勃起ポンプっていう器具着けるの」 ………何か分からないけどめっちゃ嫌。 元「それ何分着けるの」 加藤「消灯まで」 長っ……。 元「………痛いの?」 加藤「やってみたら分かるよ」 元「……佐々木先生は?」 加藤「佐々木先生?他の子の治療入ってるはず」 元「俺のとこ来る?」 加藤「来てくれるんじゃない? 元、点滴の針挿れるけど座ったままでいいの?」 元「……寝る」 ・ ・ ・ ゴムでギュッと腕を縛られ顔を逸らした。 加藤「軽く手握って」 元「採血より点滴の針挿れられる方が苦手なの……」 加藤「一瞬だから大丈夫」 チクッ 元「……っ…」 加藤「手楽にしていいよ、お終い」

ともだちにシェアしよう!