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採血
【竹内サイド】
よし、忘れ物ないな!あぁ緊張する!森田先生に見られてると思ったら倍緊張する
森田「あれ、寝てる?」
たしかに微動だにしない
森田「いや、起きてるか。
元体調どう?今日当直だからよろしく」
元「……はい…」
めちゃくちゃテンション低い苦笑。
森田「採血するから仰向けになって」
採血って言葉にあからさまに嫌そうな顔を見せたが、森田先生がいる手前抵抗出来ないのか素直に従っていた
いつもなら固定を外した瞬間に布団の中に手を隠して抵抗してくるけど、されるがまま採血台に手を置かれ森田先生にガッチリと腕を抑えられていた
元「……また手首?…」
森田「手首」
元「…はぁ……竹内先生がやるの?」
竹内「そうだよ」
元「できんの?」
竹内「できるよ」
たぶん。
竹内「消毒するね」
元「…いや。」
竹内「すぐ終わるからさ苦笑」
元「はぁ。」
竹内「チクッとするよ」
顔を腕から背けて目をギュッとつぶっているのも、全身に力が入っているのも分かり、一発で終わらせてあげたいというプレッシャーで余計に緊張してしまった。
元「!!いった!!」
やべ…血が引けてこない……
元を片手で抑えて、もう片方の手で森田先生が俺の手をサポートしながら針の角度を変えていった
元「痛いよ!」
森田「ここ」
針を進めると血が引けてきた。
竹内「ごめんね、針抜くよ」
針を抜き圧迫して止血をしている間に森田先生が採血した検体を持って部屋から出て行った
2人きりになると堪えていたのかポロポロと泣き始めてしまった
元「痛かった…泣…はぁ…はぁ…っ…」
竹内「ごめん」
頭を撫でなだめたがなかなか泣き止まず、少し過呼吸ぎみになりそうになり焦っていると扉が開く音が聞こえた
佐々木「採血終わった?」
神来た!
扉を少し開け、ひょこっと顔を出して覗き込む佐々木先生に手招きした
竹内「先生!」
佐々木「ん?」
元「ぐすん…っ…はぁはぁ…泣」
佐々木「ずいぶん泣いてるね、採血痛かった?」
背中を摩りながら佐々木先生が声をかけるとコクリと頷き佐々木先生の白衣を掴んでいた
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