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逃走

【元サイド】 今しかない……今逃げないと…また痛い事される。 オェッ…また胃がムカムカしてきた… 起き上がれるかな… 頑張れ俺…… 元「はぁ…はぁ」 早くしないと森田先生帰って来ちゃう… 靴…… 上手く履けない……いいや裸足で… 歩くとクラクラする…… 壁伝いにどうにか集中治療室から出られた。しかもナースステーションに人少ないし、看護師さん気がついてない… あと数メートルで出入り口だ…… はぁ…はぁ… よし…… 一回トイレに逃げ込もう…… はぁはぁ…呼吸が辛い…… 熱さえなければこんな距離楽勝なのに…… !!! やばい…治療室から加藤先生出てきた…… 咄嗟に近くの部屋に入りしゃがんで加藤先生が通り過ぎるのを待った。 …………加藤先生のスニーカーの音が段々近づいて来る…怖い…… よし行った……あぶねー…… ちょっとここで休憩しよ……呼吸整えたい… 「元?」 !!! 嘘だろ…… 岸本「どうした?」 市村「汗凄いぞ」 佐藤「なんか血出てない?」 …まさかのB班の先生達がミーティングしてる部屋に入っちゃった。 佐藤「裸足じゃん」 元「グスン……っ…」 市村「A班連絡してみます」 終わった……。 元「助けて泣」 佐藤「うん、どうした?」 元「具合い悪いのに…痛い事されてる泣」 佐藤「ん?」 市村「加藤先生と連絡ついて、治療中に逃げて来たみたいです」 岸本「逃げて来ちゃったのかー。ごめんな、ここで会議してたばっかりに」 元「グスン……泣」 ・ ・ ・ 加藤「すみません、うちの子回収しに来ました」 岸本「元、お迎え来たよ。頑張っておいで」 元「やだ泣。ここいたい」 加藤「そんな呼吸乱れてて何を言ってるの、おいで」 加藤先生に脇の下に手を差し込まれて立たせられた。 加藤「はい、歩いてー。 お邪魔しましたー」 元「戻りたくない泣」 加藤「ダメダメ、君はなんですぐに問題を起こすかなー。」 加藤先生に手を引っ張られて、また集中治療室に連れ戻されてしまった。

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