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思春期秘尿器科
【森田サイド】
10年程前の話……
一般的な泌尿器科だったうちの病院に思春期泌尿器科が新設されるという噂は何年も前から出ていた。
ただ希望医師がいないことや診療報酬の課題からなかなか立ち上げるまでに至らず噂だけで終わる話かと思っていた。
当時の泌尿器科の医局長が退任し新しい医局長に代わった途端事態は動いた。
岸本「森田先生、俺の仕事手伝ってくれない?」
森田「いいですよ、何します?」
岸本「午後から院長と会議するから出席してくれるだけでいい」
森田「は??俺午後オペ入ってますよ?」
岸本「それはもう他の先生に振っておいたから大丈夫!
思春期泌尿器科立ち上げる事になったからさ、森田先生引き抜いておいたから笑」
当時医局長補佐だった岸本先生からの突然の人事話に、突っ込みどころが多すぎて頭の整理が出来なかった。
森田「いや、俺思春期の子とか苦手ですよ?」
岸本「え?なんで?」
森田「小児分野ですよね?俺優しく接するとか出来ないタイプなんですけど」
岸本「大丈夫大丈夫!森田先生に優しさ求めないから笑」
おいっ苦笑。
岸本「森田先生の確かな技術、知識、愛情があれば子供達は付いてきてくれるから何も問題ない」
森田「はぁ、、、」
岸本「ビシッと子供達指導していいから笑。
あとほら、先生ED症例集めてるでしょ?思春期の症例集めるチャンスでしょ?」
たしかに論文作るのにED症例はほしい……
森田「……分かりました。
ただ、科が軌道に乗るまでの期限付きにしてください。」
岸本「はいはい」
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〜現代〜
そういえば期限付きって約束だったな。毎日忙しくて忘れてた。
当初は小児科病棟を間借りして3床からスタートしたこの科も今や40床だもんな……
よくここまで拡大したよ
岸本「泌尿器科の医局長からさ、森田先生をくれくれってずっと言われてるんだよね笑」
森田「向こうの方が医者多いじゃないですか。こっちにも回してくれたら考えます」
岸本「うちの科人気ないんだよー笑」
森田「医局長がそれ言っちゃいます?笑」
岸本「そう、だから森田先生は絶対譲らないって言っといたから笑」
森田「また勝手に決めて笑。初めから俺に選択肢ないじゃないですか」
岸本「なかなか森田先生ほどのドSな逸材出てこないからさー笑。」
森田「……イジってますよね」
岸本「いや、褒めてる」
森田「毎年毎年、うちの科くらいだと思いますよ?Sっ気ある医者募集かけてるの。だから人気ないんですよ」
岸本「ねー。だからこれからもずっと俺の仕事手伝ってね、森田先生笑」
森田「……はぁー。分かりました。」
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