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♯佐々木先生は忙しい

【佐々木サイド】 佐々木「元、今いいかな?」 ベッドにあぐらをかいて1人ゲームをしていた元に声をかけた 元「…えっ…いま?」 (そうだよねー) 1番ご機嫌なゲーム中の元にはなるべく声をかけたくなかったけど、このあと岸本先生とミーティングがあるから今しか時間ないんだよね 佐々木「ごめんね、注射今しか打ってあげられないんだよね」 元「……これ戦ってからでもいい?」 佐々木「いいよ」 (対戦中声かけたら怒られそうだから大人しく待っていよう) ベッドサイドにイスを持ってきて座りながら無邪気にゲームをしている元の顔を見つめた。 治療説明で取り乱してから食欲もイマイチで夜も安定剤に頼ってどうにか寝ているくらい不安定な毎日 貧血もなかなか改善してこず、トイレに行くだけで息切れをしてしまうような状況。 転倒防止のため、1人行動を制限されている事も本人のストレスになっているようだ 唯一ゲームをしている時間だけが治療を忘れられる瞬間でなるべくそっとしておいてあげるということがA班の暗黙の了解なのだ 律「おっ!佐々木先生いるじゃーん」 (あっ…そうだ) 佐々木「律、森田先生ナースステーションにいるから導尿して下さいって言って来て」 律「俺はしてほしくないんですけど」 佐々木「そう言わずにさぁ苦笑。なんやかんや理由付けて6時間くらい導尿してないよ」 律「いいよまだ」 佐々木「ダメダメ」 また抜け出して売店に行って来たのか、レジ袋には新しい漫画が数冊とスナック菓子が入っていた。 その漫画に手をつける前に導尿をさせなくてはいつまで経っても処置させてもらえなくなる 律「佐々木先生やってよ」 佐々木「さっきも言ったでしょ、先生今日時間ないよって」 1時間前にも律に声をかけたがシャワーを予約したとかでやらせてもらえなかった。 律「いや、だから待ってるから!先生の用事終わるまで」 佐々木「何時になるか分からないからダメ!」 律「じゃあ自分でやるから管ちょうだい」 佐々木「テスト合格してない子にはあげません」 律「…あぁ…めんどくさっ。」 ブツブツ文句を言いながらもナースステーションの方向には行ってくれたみたいだから律を信じよう ・ ・ ・ 元「いいよ」 佐々木「お腹がいいかな?」 元「……パジャマのゴムにあたらないところね……」 佐々木「はい」 (元の気が変わらないうちに打たなければ) 佐々木「膝立ててね」 元「…お腹打つの痛いかな?」 佐々木「うーん…どうかなぁ?腕にする?」 元「……寝る時痛いからやだ」 (イヤイヤモード入りかけてるな……) 佐々木「……とりあえず今日はお腹でやってみよう」 元「…ぅ…ん…」 もう一度膝を立てさせてパジャマを捲り上げた。元々細身な上に食が細くなっているため、年齢の割に皮下脂肪が少なくて注射の痛みを感じやすいのだ 佐々木「チクッってするよ」 チクッ 元「…っ…た…」 佐々木「薬入るねー」 元「痛い……」 足の指にギュッと力を入れて痛みに耐える元を早く撫でてあげたい。 (あと1cc……) 佐々木「針抜くねー」 元「……っ……」 佐々木「頑張ったねー!偉ーい」 元「……もうやりたくない」 佐々木「あと5回だからさ、明日またどこに注射するか一緒に考えながらやってみようね……」 元「………ぅん」

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