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(ホテル)名前を呼んで 3

「分かりました。では、挿れられるのと、挿れるの、どちらがいいですか?」 「そんなことまで俺に聞かないでよ。恥ずかしい」 「大事なことなんです。僕は君のことが狂おしいくらい好きです。好きすぎて頭がおかしくなりそうです」  悠里が息を飲んだ。 「だから、君に嫌われるようなことはしたくない。君が挿れたいと言うのであれば、受け入れる覚悟はあります」 「ず、ずるいよそんなの」 「とりあえず挿入なしから始めたいと言うなら、そこまでにします。もちろん、やっぱり今日はこのまま眠りたいと言うのであれば、君には指一本触れません。どうしたいですか?」 「俺に決めさせるの……?」  悠里が顎を引いて、上目遣いで僕を見た。 「好きだから傷つけたくないんです」 「わざとなの? 分かってて恥ずかしいことを俺に言わせようとしてるよね?」 「何のことですか?」  本当に何を言われているのか分からず、首を傾げる。 「やっぱり先生は攻めだと思う……」 「つまり?」 「うう、ひどい……」  悠里が頭を抱えた。 「僕は何もひどいことは言ってませんよ。さあ、言ってごらん」 「……先生がほしいです。だ、抱いて――挿れて、ください」  悠里が目を合わせずに言う。「分かりました」と囁くと、悠里の体がびくんと跳ねた。僕の髪の毛一本ですら、まだ悠里には触れていないというのに。  心臓が大きな音を立てはじめた。それを悟られないように、努めて平静を装う。 「君が望むなら、僕も頑張ります。こういうことは初めてですから、うまくできる保証はありませんが」 「初めて? 女の人とも、したことないの?」 「君は僕の話を忘れたんですか? 中学生の時に同級生と健全なお付き合いをしただけで、その先、人との接触を避けてきたんですよ。どこにセックスが入り込む余地があるんです?」 「そ、そうだった」  悠里が口元を手で覆った。 「どうしました?」  悠里の目が笑っている。それはそれは、とても嬉しそうに。 「先生の初めてを俺にください。そして、俺の初めてをもらってください」  悠里が頬を紅潮させて頭を下げた。「初めて」を喜んでくれる悠里に、胸が高鳴った。欲望が首をもたげはじめる。 「分かりました。じっくり味わいます」  真っ赤に熟れた悠里を、ベッドに押し倒した。

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