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(ホテル)名前を呼んで 7

「よくできました」 「やっぱ、分かってたんじゃないかっ――! あんっ」  手の動きを激しくすれば、悠里が煩悶(はんもん)した。 「声までかわいいですよ、悠里」 「やだぁ、かわいいって言わないでっ」 「なんて言ってほしいんですか?」 「わ、分かんない、っけど、やだ」 「悠里」  びくん、と悠里の体が反応する。 「好き。好きです、悠里」  囁きながら鎖骨に口づける。吸う。悠里に赤い(あと)を刻み込んだ。手のひらで、悠里の剛直の先端をなでる。 「んっ」 「悠里、気持ちいい?」 「いやっ……じゃ、な、くて。もっと、して。健人さっ、んんっ」  恥ずかしがりながら、健気に欲望を言葉に変える悠里を見て、劣情が煽られる。 「悠里の中、あったかいですよ」 「実況やだ……」 「ほら、どんどん飲み込んでいく」 「だから、やめてってば」  悠里が嫌がる姿を見て、僕のモノは形を変えてしまう。それを感じ取ったのだろう、悠里が僕をうるんだ目でにらみつけてきた。 「へ、変態」 「違いますよ。悠里がかわいすぎるのが悪いんです」  きゅ、と軽く竿を握れば、悠里の顔がゆがんだ。 「いじ、わ、る……やだ……」 「いや、なんですね」  にやりと笑う。悠里が慌てて首を横に振った。 「いやじゃない、いやじゃないから、イかせてっ!」 「素直におねだりできてえらいですよ、悠里」  悠里の腰に手を添えて、完全に悠里の中に滑り込む。 「……ああっ!」  ふいに出てしまった大きな声を恥ずかしがるように、悠里が唇を強く噛みしめた。 「だめです。傷がついてしまいます」  下唇に親指を添えて、下に引っ張り、悠里の口をひらかせる。指で唇をなぞると、とろんとした瞳で見上げられた。 「お望み通り、イかせてあげますから。悠里のかわいい声、もっと聞かせてください」 「い、いじわる……健人さん、きらい」 「そうですか。じゃあやめましょうか」  わざとらしく落ち込んだ声を出して、抜くそぶりを見せると、悠里が抱きつくようにして、僕の身体を足と腕で固定した。 「だ、め!」  ぎゅう、と前からも後ろからも締めつけられる。 「う……」  口から勝手にうめき声が出てしまう。 「や、った」  悠里が嬉しそうに言った。 「なんで笑ってるんですか?」 「やっと、健人さんの苦しそうな声、聞けた。冷静じゃない顔、もっと見たい」  悠里はたくさん喋れるようになったようだ。余裕が生まれたみたいだし、そろそろ動いてもいいだろうか。 「へえ、悠里は煽るのが上手ですね。そんなに言うなら、ちゃんと受け止めるんですよ?」  口の端を引き上げれば、悠里の顔がこわばる。でもそこには期待がにじんでいる。  腰を動かす。まずはゆっくりと。 「んっ、そこ……あぁっ!」  逃げていきそうになる悠里の腰をつかまえる。 「僕のでもっと気持ち良くなってください」 「やっ、ふぁっ、あ……!」  悠里の爪が背中に食い込んだ。悠里が快楽を貪っている証拠のように思えて、震えるほど嬉しくなった。  ――もうむり。がまんできない。  悠里に気を遣っている余裕がなくなった。本能のままに、抽送を繰り返す。

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