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(ホテル)名前を呼んで 8
「けんと、さんっ、や……ぁ、い、い」
僕が腰を振るたびに悠里がかわいい声で啼くから、止まらなくなる。
「あ、あ……っ。けん、と、さぁ、……んんっ!」
「あっ……、うっ。ゆう、り……好きぃっ!」
――やばい。きもちよすぎる。ぼくの、ゆうり。かわいい、ゆうり。イけ。イけっ。もっとぼくに、おぼれて。もっと、もっと。もっと!
脳が溶ける。難しいことを何も考えられなくなる。
「悠里、すき」
「きもちっ、んぁっ! ぃやッ、こわい、へんになる……っ!」
「気持ちいいね。こわくないよ」
――もっと、なけ!
屹立をしごきあげれば、より一層大きな声で啼いてくれる。
「あっ……! やっ、なんかくる、きちゃ……ああっ!」
「かわいい」
「あん! けんとっ、さ、んんんっ! イっちゃう、からッ! もう、やめ……」
「やめない。……イきたいんでしょ? イって」
「あっ、あッ、い……く……、っああぁーっ!」
僕の言葉に促されるように、悠里が体をビクビクと震わせて、白濁を吐き出した。僕の精力を搾りつくさんばかりに、悠里の中が締まった。悠里の目から涙が滑り落ちるのが見えた。意識が飛びそうになったところを、なんとかこらえる。
余韻に浸るようにけいれんしている悠里の体を、ぎゅっと抱きしめた。悠里の手足から力が抜け、僕の両手に、ずしりとした重さがのしかかった。その重みで、快楽でぼやけていた僕の頭が、はっきりしてくる。
悠里は気を失ってしまったのだろう。慎重にベッドの上に寝かせた。
「ごめんなさい。無理させてしまいましたね」
悠里の顔にかかっている髪の毛を払ってやってから、体を引き抜くと、その刺激で決壊した。スキンの中が、飛び出した欲望でいっぱいになる。
いまだかつて味わったことのない快感が弾けて、腰が砕けた。
たくさん名前を呼んだし、呼ばれた。そうできなかった今までの日々を埋めるように悠里を求め、悠里はそんな僕にこたえてくれた。びりびりと脳の一部がまだ痺れている。
「ありがとう。大好きです」
肩で息をしながら、悠里の左手を持ち上げて、薬指の付け根にそっと口づけをする。泣いて、啼いて、僕の情欲を懸命に受け止めてくれた、かわいくて、大切な、僕の宝物。
悠里の中で達することはできなかったが、僕が悠里を絶頂させたのだという喜びで、心は満たされていた。
コンドームの処理を終えてから、悠里の全身を濡らしたタオルで清め、上からパジャマと布団をかける。
「おやすみ、悠里」
悠里の布団が規則正しく上下しているのを見とどけ、僕はバスルームに向かった。熱めのシャワーを浴びながら、静かな幸せに身を委ねた。
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