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白昼夢 last

カーテン越しの日差しが眩しくて目覚めたけど・・・ 僕は目を開けるのが怖かった。 ・・・昨夜の事は夢なんじゃないかって・・・ 翔さんが僕に触れ全てを包み込んでくれたのが・・・ 夢だったんじゃないかって。 「南・・・?」 ・・・心配そうに僕を呼ぶ声・・・ 翔さんだよ・・・ね? 「南?大丈夫か・・・  その・・・昨夜・・・」 翔さん・・・ 「もし、身体辛かったら言えな・・・  何か持ってきてやるから・・・・・」 翔さん・・・ 「南・・・?お前、起きてるだろ?」 翔さん・・・ 「嘘・・寝・・・だろ・・・・?」 「・・・・・」 「やっぱり・・・お前って何だかな・・・」 そう言って僕の頭をくしゃくしゃっと撫でる 温かな翔さんの手・・・ 「翔さん・・・」 「何だ?」 「夢・・・じゃないよね?  目を開けるのが怖いんだ・・・・・」 「南・・・」 「僕、ここにいて良いんだよね・・・?  翔さんの傍に・・・・・」 「当たり前だろ!」 「うん・・・」 「ほら目、開けてみろって・・・夢なんかじゃねぇから・・・・」 「うん・・・」 僕はゆっくりと目を開く。 僕だけに向けられた翔さんの優しい笑顔。 僕の瞳の中には翔さんが・・・・・ 翔さんの瞳の中には僕が・・・・ 互いの瞳の中の僕達が微笑んでいる。 これからはずっと・・・ もう、真昼に夢をみても大丈夫だよね? どんなに悲しい夢を見ても 翔さんが隣にいてくれるから・・・・ 僕は温かな日差しの中でもう一度、深い眠りについた。 ―梨花―    僕は稽古場からの帰り、潤ちゃんの部屋に寄った。 潤ちゃんの事だから・・・ 今頃きっと落ち込んでいるに違いない。 チャイムを鳴らしてみる。 でも、返事は無かった。 ドアは・・・ 鍵が開いているみたい。 僕は小さな声で「おじゃまします」とだけ言って入る。 「潤ちゃん、いる・・・?」 やっぱり返事は返ってこない。 灯りもつけずに真っ暗のまま ソファーに一点を見つめて座っている潤ちゃんをみつけた。 「潤ちゃん・・・」 「・・・・・」 「頼まれた通り、南を翔さんに引き渡してきたよ・・・・」 「・・・・・」 「潤ちゃん・・・大丈夫?」 「・・・・・」 「潤ちゃん・・・・」 俺は潤ちゃんを抱きしめる。 「潤ちゃんはホント、僕がいないと駄目なんだから・・・  仕方ないから僕が傍にいてあげるよ・・・」 「梨花・・・?」 「だって・・・そうでしょ?  潤ちゃんは本当は寂しがりやで・・・  ひとりじゃ何も出来ないんだからさ・・・」 僕は半分泣き出しそうな声で言う。 「梨花・・・ごめん」 「良いよ・・・許してあげるよ・・・  僕は潤ちゃんが誰を想ってても・・・  潤ちゃんが好きだから・・・  だから・・・許してあげる・・・  傍にいてあげる・・・だから・・・・・」 僕はここまで言って泣き出してしまった。 そんな俺の背中を優しく撫でてくれる潤ちゃん・・・ やっぱり僕は彼が好き・・・ 彼の傍にいたい・・・ 「梨花・・・  直ぐには南の事忘れられないかもしれない・・・  もしかしたらずっと・・・・・  それでも、良いのか・・・・・?」 「・・良い・・よ・・・・  僕は潤ちゃんが僕の事好きになるまで待つから・・・  ずっと・・・待ってる・・・か・・ら・・・・」 「梨花・・・」 僕達はこれから・・・ 今はまだ・・・ 先が見えなくても・・・ それでも僕の彼を想う気持ちは何時までも変わらない。 ここからゆっくり始めたら良いよね・・・? ・・・潤ちゃん・・・好きだよ・・・ Fin?

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