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願い 6

・・・あれから何となく累との関係が続いていた・・・ でも、僕はそれで良かった。 今は誰かの胸の中で 潤ちゃんの事を忘れられる時間がないと 苦しくてたまらなかったから。 ・・・累には悪いと思う・・・ だけど、僕は・・・ 「梨花さん・・・?」 「ごめん、続きしよ・・・」 「でも・・・あの辛いんじゃないんですか・・・  その・・・」 「潤ちゃんのこ・・と・・・?」 「はい・・・」 「累は嫌なの?」 「嫌とか、そんなんじゃないです。  ただ・・・」 「ただ?」 「俺は・・・」 「・・何・・・?」 「いや、良いです・・・・」 「累ってば変なの・・・」 累が僕のカラダに触れ 僕の感じる場所に唇を落として行く。 そして僕も高ぶった累のモノに触れ 僕の中へと導く・ 累にイイ所ばかりを突かれ 僕は高みへと意識が飛ぶ・・・ ・・・これで良い・・・ 今の僕には この瞬間が必要なんだ・・・ 「梨花さん!」 心配そうな顔で俺を呼ぶ累・・・ もしかして気を失っていた・・・? 「・・大丈夫・・・」 「良かった・・・心配しました、マジに・・・」 「・・・それだけ累が・・・  上手くなったってことじゃん・・・」 その言葉で真っ赤になる累。 ・・・累ってこんなまっすぐで純粋な奴だったんだ・・・ もしかして僕は・・・ いけない事を累にしてる? ヤバイかな・・・ ごめん・・・累。 「そろそろ帰るね・・・」 「え?大丈夫なんですか・・・  そんな身体で・・・・・」 「大丈夫・・・」 「でも・・・・」 「何?もうする事したじゃん・・・」 「梨花さん・・・」 「累・・・もしかして、本気になってるの?」 「・・・・・」 「ごめん、帰るから・・・」 「梨花さん、あの・・俺・・・」 「ごめん、聞きたくない・・・」 帰ろうとする僕の腕を掴んだ累。 けど・・・ 僕はその腕を振り解いて 床に脱ぎ捨ててあった服を着込んで 僕は部屋から出たけれど・・・ 帰る場所は・・・ 潤ちゃんとこしかなくて。 仕方なくトボトボと夜道を歩き 潤ちゃん家に帰った。 ドアを開けると潤ちゃんがいた。 「ただいま・・・」 「どこに行ってたんだ?」 「別に・・・どこでもいいじゃん!  僕が何処に行ってようが潤ちゃんにはかんけいないでしょ?  それより、お腹空いちゃった。  潤ちゃん、なんか食べる物ある?」 「梨花!」 冷蔵庫の中を見ようと屈んだら 潤ちゃんが抱きしめてきた。 「離して!」その言葉と共に 潤ちゃんの腕を払い退ける。 「累と・・・累に抱かれたのか?」 「誰かに聞いた?  あ・・・潤ちゃんの愛しい南から?  南から聞いたんでしょ?  そうだよ・・・僕から誘った。  駄目だった?  潤ちゃんに責められる理由なんて何もないでしょ?」 「梨花・・・」 「累は優しいよ。  潤ちゃんみたいに南を想いながら僕を抱かないし」 「・・・・・」 「もういい?  何か食べたいんだけど」 「梨花・・・出て行け・・・」 何・・・言ってんの? 僕は潤ちゃんを睨みつけ言い返す。 「いやだ」 「出て行け!」 「そんなに怒鳴ったって僕は出て行かないよ!  言ったでしょ、潤ちゃんとはセフレでいいって」 「今のお前を抱く気にもならない。  お前・・・本当にそれでいいのかよ?  俺が好きになるまで待つ・・・って・・・」 「じゃあ・・・じゃあ、どうすればいいの?  どうすれば良かったの?  教えてよ!  ねぇ潤ちゃん、教えてよ!」 これ以上、僕から何が訊きたいの? 潤ちゃんの心の中には南しかいないんでしょ? 僕にどうしろっていうのさ・・・ 壊れてしまいそうな精神を自分で何とかしてるのに・・・ どうして潤ちゃんに詰られなきゃいけないんだよ・・・ それなのに潤ちゃんは僕を抱こうとする。 今さっき、出て行けって言ったくせに。 南しか愛せないくせに。 潤ちゃんが僕の唇を吸う・・・ 潤ちゃんの唇が俺のカラダに・・・ い・・・嫌だ・・・ もう・・・ こんな事・・・ 耐えられない・・・ 「嫌だ・・・っ!」 僕は初めて潤ちゃんからのキスに抵抗した。 その時だった。 僕のスマホの着信音が鳴った。

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