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願い 7

梨花を抱きしめ・・・ 身体中に俺は唇を吸い付けていく・・・ その時、梨花のスマホが鳴った。 「やめて、離せよ!  出なきゃ・・・」 「出なくていい!」 俺は梨花の言葉を無視し 尚も梨花の身体に烙印を押していく。 「痛いよ・・・潤ちゃん・・・」 どうして俺はこんな事をしてるんだ? 嫌がる梨花をベッドに押し付け・・・ ヤキモチを妬いてるのか? まさか! そんな・・・ そんな訳、無い。 だが・・・ 否定できるのか? 累に嫉妬している俺がココにいる。 「あっ」 そんな事を考えている間に梨花は俺の腕をすり抜けると スマホを取り着信を確認している。 「累・・・か?」 「潤ちゃんには関係ないでしょ?」 そう言い放つと梨花は累にリダイヤルし 「累!助けて!」 そう一言だけ言うと切った。 「お前、何やってんだよ・・・  累に迷惑だってわからないのか?   「何の・・・事?」 「累には好きなヤツがいる・・・  梨花・・・お前、知らなかったのか?」 「え・・・?」 梨花はその言葉に驚き俺の顔を見上げ呆然としている。 「何?そん・・な・・・そんなの・・・」 「お前、気がつかなかったのか?」 「だって・・・」 梨花はそれ以上、何も話せなくなったのか 蹲って目を閉じ、耳を両手で塞いでしまった。 それから15分程して玄関のベルが鳴った。 急いで来たのだろう、累の息はあがっていた。 累は俺に頭を下げると梨花の側に行く。 「梨花さん?大丈夫ですか?」 「どうして・・・どうして言ってくれなかったの?」 「何をです?」 「好きな人がいるんだろ・・・?」 「・・・・・・・」 累が困った顔で俺を見る。 「梨花、累を自由してやれ」 「・・・いや・・だ・・・いや・・・だ・・・」 累にしがみつく梨花を無理やり離そうとしたが・・・ 梨花の指が累の首に食い込む。 「梨花、累を傷つける気か!」 「あっ・・・」 累の首から血が滲んできた。 「ごめん・・・ごめんね、累・・・・・」 「大丈夫ですから」 「・・・ごめん・・・ご・・めん・・・」 俺は累を立たせると 首の傷から滲む血を拭いてやる。 「潤さん・・・梨花さんを愛してあげて下さい。  俺では無理なんです」 「・・・・・」 「俺に・・・  俺に抱かれながら梨花さんは潤さんの名前を・・・」 「ああ・・・分かってる・・・  悪かったな・・・迷惑をかけて・・・」 累は俺の顔を見ると 「では・・・」 そう言って俺に一礼をすると梨花に 「後、潤さんと話し合って下さい。  梨花さんを助ける事が出来なくて、すみません」 梨花に告げて帰って行った。 ドアが閉まると俺を睨む梨花。 「何で・・・何で言ってくれなかったの?」 「知ってると思ってた・・・」 梨花は累の身も心も傷つけてしまった事に 後悔をしているようだった。 「誰なの・・・?  累が好きな人って・・・」 「・・・・・」 「言ってよ!」 「・・・知ってどうする?」 「わからない・・・わからないけ・・ど・・・  でも・・・・・」 ・・・苦しいのはお前だけじゃない・・・ 累だって苦しいんだ。 俺だって・・・苦しい。 梨花、お前を愛せたら・・・ どんなに幸せか・・・ そんな事・・・ 誰かに言われなくてもわかってる・・・ わかってる・・・んだ・・・よ・・・

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