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告白 3

最近、累さんの様子がおかしい・・・。 僕の顔さえも見てくれなくなった。 「れい、どうした?」 「湊・・・何でだろ・・・」 「何がだよ?」 「累さん、変だよね」 「・・・・・」 「湊?何か知ってんの?」 「知らないよ!」 「その顔は、何か知ってる顔だ!」 「知らないって言ってんだろ!」 何だか分からないけど湊は怒ってるようだった。 はぁ~~。 返事は貰えないし・・・ 何なんだよっ、もうっ!! その日・・・ 雨が降り出したので僕は傘を買おうとコンビニに入ると・・・ 累さんだ! でも、その隣に・・・梨花さ・・ん? 梨花さんと累さんって仲良かったっけ? 確か、累さんは梨花さんの一期下で 梨花さんと潤さんは・・・ お金を払い終わった累さんが僕に気が付く。 「れ、れい!」 「お疲れさまです」 「あぁ、おつかれ」 そのまま累さんは梨花さんと一つの傘に入り 雨の中に消えていった。 僕はその二人の姿が見えなくなるまで コンビニの前で立ち尽くす。 「れい、何やってんだよ!  濡れてんだろーが!!」 「・・う・・ん・・・・」 「もしかして・・・見たのか?  累さんが梨花さんと一緒のとこ・・・」 「あの時、湊が言ってた・・・やめとけって、この事?」 湊を見ると悲しそうな瞳で僕を見ていた。 「そ・・う・・・なんだ・・・」 僕は雨の中へ・・・ 湊の僕を呼ぶ声を背中で聞きながら走って帰った。 『酷いよ・・・  それならそれで、ちゃんと返事くれたらいいじゃん』 部屋に帰ると、昨日来ていた小包を開ける。 そこには母さんから来たお米やお菓子が入っていた。 そして、手紙・・・ 封を切るといつもの優しい文面が・・・ 泣けてきた。 【皆さんに可愛がられるようにするのよ。  今度の公演、頑張ってね】 ・・・それ以上は涙で見えない・・・ 初恋で初失恋・・・ バカみたい・・・ でも・・・ でも・・・ 僕は累さんが好きだ。 ・・・忘れるなんて出来ない・・・ 翌日の稽古・・・ 僕は昨日の雨で風邪をひいてしまい声が思ったように出なかった。 「れい、大丈夫?」 「舞歌さん・・・」 舞歌さんは心配そうに僕の顔を覗き込む。 「昨日、雨の中走ってたでしょう?」 「あ・・・見てたんですか?」 「何かあったのなら、いつでも相談にのるからね?」 「はい・・・」 泣きそうになるのを我慢して僕は舞歌さんに笑いかけた。 「無理して笑わなくてもいいよ」 「・・・はい」 舞歌さんは僕の背中を擦ってくれた。 それはまるで母親にそうされてるみたいで・・・ 心が少し解けた。 累さんの稽古が始まったけど演出家からダメだしを受けて 稽古場の床に座り込み 項垂れている累さんを見るのが辛い。 その時・・・ 僕と目が合った累さんの表情が まるで『助けて』と言ってるように見えて 『僕は累さんが好きです。  あなたの為なら何でもします』 心の中でそう累さんに語り掛けていたら梨花さんが現れ 累さんの横に座る。 ・・・何か話してるようだけど・・・ 梨花さんの声に累さんの視線が梨花さんに移る。 それがとても切なくて。 ずっと・・・ 見つめていて欲しかった。 ずっと・・・ ずっと僕を。

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