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告白 5

「れい、どうした?」 「ん?」 湊が心配そうに訊いてくる。 ・・・最近の僕は湊や舞歌さんに心配かけ過ぎだよなぁ・・・ 「何でもないって!」 「何でもないって・・・泣いたのか?  目が赤いぞ!」 「大丈夫だってば!  舞歌さんも心配してくれて・・・」 「舞歌さんが?」 「うん・・・いつでも相談にのるからって。  優しいよね、舞歌さんって」 「そうだな・・・」 「湊?」 舞歌さんの名前を出したら急に湊の顔が曇った。 ・・・どうしたんだろ?・・・ 「舞歌さんって、誰にでも優しいよな・・・」 「うん・・・え?・・・あっ、湊!  もしかして・・・」 「何でも無い!  変な憶測すんなよ!」 「へへっ・・・誰にも言わないし!」 「だからっ!」 「湊は前から舞歌さんを尊敬してる!って言ってたもんなぁ・・・」 「だから、もういいって!」 ・・・あっ、舞歌さんだ!・・・ 「れい、ご飯でも一緒に食べに行く?」 「え?いいんですか?」 稽古も終わり、湊と話していたら 舞歌さんが笑顔で僕達の元に来てくれて食事に誘ってくれた。 「うん・・・今日のれい・・・何だかしょんぼりしてたし。  何か美味しい物でも食べて元気だして欲しいな・・・」 「本当ですが?  じゃぁ・・・行きます!」 「あ・・・湊くんも一緒に行かない?」 舞歌さんに誘われて湊ったら顔が真っ赤になってるって! そんなんじゃ、バレバレだってば! 「舞歌さんが誘ってくれてるんだよ?  湊、一緒に行こ?」 「う・・・うん・・・」 ・・・湊は挙動不審になってるけど・・・ 舞歌さんは僕達の会話を聞きながらニコニコ笑ってくれて。 「何が食べたい?  何でもいいよ!」 「僕は焼肉が食べたいです!」 「れい!焼肉って・・・お前さぁ・・・」 「いいよ、湊くんも焼肉でいい?」 「・・・はい」 ・・・湊ってば照れてるよ・・・ こんな湊、見るの初めてかも。 けど・・・ 今だけ・・・ 累さんとれいさんを忘れる事ができた。 楽しんでいいよ・・・ね? 舞歌さんが昔、上級生によく連れて行ってもらった店に僕達を案内してくれ カルビやロースとか沢山注文してくれた。 「湊、そこ焼けてる!」 「あっ・・・おう!」 僕は湊をからかう。 湊は目の前に舞歌さんがいるから食べにくいのかな? 「れい、ピーマンも食べろよ!」 「やだ!  ピーマンなんか食いたくない!!」 「舞歌さん、何か言ってやって下さい。  こいつ、肉ばっかり食べて・・・」 「今、ここでピーマンを一個食べたからって  体が健康になる訳じゃないし・・・ね?」 「そうですよね~」 「僕もあんまり好きじゃないし・・・」 「え?舞歌さんも嫌いなんですか?  駄目ですよ、好き嫌いは!」 「怒られちゃったね、れい!」 ・・・来て良かった・・・ 舞歌さんって本当に優しいなぁ・・・ 湊もこんな所が好きなのかな? 舞歌さんと湊のおかげで累さん達の事を忘れられたせいか 今まで食べた事が無いほどお腹いっぱう食べてしまった。 「ごちそうさまでした!」 「もういいの?」 「はい!  これ以上は・・・入りません」 「湊くんもいいの?」 「俺も・・・ごちそうさまでした」 「一年分の肉を食べたって感じ」 「そう・・・なら良かった!」 舞歌さんが微笑むと湊の頬が少し赤くなって。 「じゃあ、帰ろうか?」 「「はい!」」 僕達外に出ると舞歌さんに食事のお礼をもう一度言って別れた。 帰り道・・・ 「れい、これからどうするんだ?」 「え・・・帰るよ?」 「そうじゃなくて・・・」 「あ・・・累さんのこと?」 「ちゃんと話をした方がよくないか?」 湊にそう訊かれても直ぐに返事が出来ない。 「・・・・・」 「このままじゃ、お前・・・」 「・・・何て言ったらいいのかわからない。  もし、梨花さんが一緒にいたらどうすんの?」 「それも・・・いいんじゃないか?」 「え?」 「お前、また今日も家に帰って泣くつもりか?」 「・・・・・」 「泣くくらいなら電話してスッキリしろよ!」 湊・・・ ありがと・・・ 僕はポケットからスマホを出すと累さんに電話を掛けた。 手が震える。 5回目のコールで累さんの声が聞こえてきた。 「もしもし・・・れいです」

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