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告白 last

僕の前に正座をする湊くん・・・ 僕の話をきちんと聴こうとしてくれてるんだね。 だから・・・ 僕もちゃんときみに話さないと。 「湊くん、僕は好きな人がいる・・・」 「・・・・・」 「ごめんね・・・」 「・・・・・」 「でもね、今・・・湊くんの話を聞いていて思ったんだ。  もしかして僕のその人に対する気持ちは  憧れなんじゃないかって・・・」 「舞歌さん・・・」 「だけど、憧れでも何でも・・・  好きって気持ちに変わりはないんだよね」 「何となく・・・わかります」 「ありがとう。  だから今は湊くんとは付き合えない。  憧れだとしても、やっぱり僕の中でその人が一番だから・・・」 「・・・・・」 「ごめんね・・・」 「舞歌さん、俺は憧れだけじゃないです!」 「うん、分かった。  湊くんの気持ち・・・  ちゃんと受け止めたから・・・  だから・・・僕の中で湊くんが一番になるまで待っててくれる?」 「はい・・・」 「ありがとう」 「舞歌さん・・・」 「何?」 「一つだけお願いしても良いですか?」 「何かな?」 「あの・・・抱きしめても・・・良いですか・・・・・?」 「うん。良いよ」 僕を抱きしめる湊くん。 僕はその湊くんの背中にそっと手を伸ばした。 何時か湊くんを心から好きになれます様に・・・・ 薫さんが僕を抱きしめて言ってくれた言葉。 「舞歌にも何時か本当に好きな人が現われるから・・・  その時まで舞歌は舞歌らしく、優しい笑顔でいて欲しいな・・・」 ・・・今はあの時の言葉がよく分かる・・・ 僕も湊くんには何時も笑顔でいて欲しい。 そして何時か・・・ その笑顔の隣で僕も笑っていたい・・・ ねえ、湊くん・・・ 本当はもう僕は直人くんが・・・ ・・・舞歌の言葉が痛かった・・・ 翔さんと南さんのお披露目公演が終わっても れいの事ばかり考えている俺がいた。 俺は何時までれいを泣かせておくつもりなんだ? 今はまだ・・・ それは俺だけの理由で れいの気持ちなんて考えてないよな・・・ 梨花さんとの事ちゃんと話そう。 それでもれいがまだ・・・ 俺の事を好きでいてくれるなら・・・ 俺はその気持ちに応えてやりたい。 俺もれいが好き・・・だ・・・ たぶん・・・・ いや、きっと・・・ 男同士だからとか、そんなの関係なくれいが・・・ れいの涙を見て俺は抱きしめたじゃないか・・・ きっとそれが俺の答え。 地方公演の稽古が始まり 俺と顔を合わさない様にしているれいを稽古場の隅に見つけたが 俺はそんなこと構わずにれいに声をかける。 「れい、話があるから帰りに俺の家に寄れよ!」 「え?・・・は・・・い・・・」 「絶対来いよ!良いな?  先輩命令だからな!」 「・・・はい」 隣で微笑みながらそのやり取りを聞いてる舞歌。 れいの肩を叩いて笑顔になる湊。 梨花さんも潤さんも微笑んで見ていた。 やっと・・・ 1歩前に進んだのかもな・・・ その日の稽古は何時になく長く感じた。 稽古が終わり、帰りにもう一度れいに念押しをしたが それでも、なかなかやって来ないれいに痺れをきらし 探しにいこうか?と思った時・・・ やっとれいが俺の所へ来た。 こんな時間になるまできっと・・・ 悩んでなかなか来れなかったんだろう。 ・・・そんなれいを愛しく感じる・・・ だからこそ・・・ 正直に話そうと思った。 「あの、話って・・・」 「れい・・・  俺は梨花さんを抱いた・・・  でも、恋愛感情はなかった」 「え?・・・どういう・・・意味・・・?  好きでもないのに・・・じゃ、どうして・・・?」 「あの時は梨花さんを俺は独りに出来なかったから・・・  ごめんな」 「・・・・・」 「潤さんと色々あったみたいで・・・  梨花さんを放っておけなかった」 「・・そう・・なんだ・・・」 「れいが好きだって告白してくれた後も・・・  れいの事を考えながら梨花さんを抱いた・・・」 「・・・・・・」 俺の話を聞いて今にも泣き出しそうなれい・・・ でも・・・ 俺の話をちゃんと聞こうとして必死に泣くのを堪えている。 「れい・・・色々あったけど今でも俺を好きか?」 「え・・・?」 「こんな俺でもまだ好きでいてくれるか・・・?」 「・・・・・・」 黙ったまま頷くれい・・・ れいの大きな瞳から涙が溢れる・・・ 俺はその涙を拭うようにれいの頬にキスをした。 あの時、れいが俺にしてくれた様に・・・ れいから告白されてそれを受け止めた俺。 俺から梨花さんとの関係を聞いても受け止めてくれたれい。 俺達の関係は今・・・ ここから始まる。

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