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恋愛 2

「湊く・・ん・・・」 滑って転びそうになった僕を 湊くんが受け止めてくれた。 僕は湊くんのおかげで頭を打たずに済んだのだけれど 湊くんは僕を庇ったせいで肘を打ったみたいだった。 それに服も濡れて・・・ 「ごめんね・・・湊くん、大丈夫?」 「俺は大丈夫です!  それよりも舞歌さんは?」 「大丈夫じゃないでしょ?  肘・・・」 「あ・・・でも、舞歌さんが怪我しなかったからそれで・・・」 「湊くん!」 僕は思わず大きな声を出してしまった。 自分の事は放っておいて僕の事心配して・・・・ 湊くん・・・・ 僕は・・・・ 「どうしたんですか・・・?」 急に黙ってしまった僕に 心配そうな顔をして訊いてくる湊くん。 そんな湊くんに・・・ 僕は・・・ 抱きついた・・・ 「舞歌さん?」 「心配させないでよ・・・」 「え・・・っ?」 「もし、大怪我したらどうするの・・・?」 「舞・・歌・・さ・・・ん・・・?」 「僕のせいで湊くんに何かあったら・・・」 僕は涙が出てきてそれ以上話せなくなってしまう。 湊くんに何を伝えたいのか分からない・・・ 湊くんは僕の為に色々してくれるけど 僕は何もしてあげられないよ・・・ ・・・胸が痛い・・・ 「舞歌さん・・・  泣かないで下さい・・・」 「・・・・・」 「あの・・・  本当に俺は何とも無いですから・・・」 「ば・・か・・・」 「・・・ば・・か・・・?」 「ばか・・だ・・よ・・・  本当に・・・湊くんは・・・ばかだ・・・」 「舞歌さん・・・?」 「僕は・・・  告白の返事だってまだだし・・・  僕は・・・僕は・・・  湊くんに何もしてあげれてないのに・・・」 「舞歌さん・・・  してくれてるじゃないですか・・・」 「え?」 僕は湊くんの顔を見る。 驚く僕に湊くんは微笑んで語りかけてくれた。 「こうして俺と会ってくれてるだけで  俺は嬉しいんですよ!」 「・・・・・」 「だって、こうして舞歌さんと二人だけの時間が  持てるなんて思ってもいなかったから・・・」 「・・・湊くん?」 「俺はこの数ヶ月間、ずっと悩んでたんです。  舞歌さんに迷惑なら諦めた方が良いのかな?とか・・・」 「・・う・・そ・・・」 「嘘じゃないですよ・・・  真面目に考えてました。  だから・・・今日のドライブだって  誘うのに凄く勇気がいったんですよ!」 「・・・・・」 「俺は・・・  こうして舞歌さんといられるだけで幸せなんです」 「・・・湊くん・・・」 「舞歌さんが何を思ってそんな事を言ってるのか  俺には分からないですけど・・・  俺は舞歌さんが傍にいてくれるだけで良いんです」 湊くんの言葉を聞いて 僕は涙が止まらなくなってしまった。 ・・・湊くんにこんなに想われてるなんて・・・ 湊くんの気持ちに応えてあげたい。 「湊くん・・・」 「はい?」 「僕を抱きたい・・・?」 「え?!」 「湊くんの告白はどう言う意味だったの?  舞台の上での僕を好きなだけなの?  それとも上級生として憧れ?  湊くんは・・・僕とどうなりたいの・・・?  どうなりたくて好きっていってくれたの・・・?」 「そ、それは・・・」 僕の言葉に答えられなくなってしまった湊くん。 それが・・・ その沈黙が・・・ 何だか怖くなって・・・ 僕は湊くんの唇に僕の唇を重ねた・・・

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