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恋愛 9

・・・累さんと梨花さんが話してる・・・ 舞台の・・・話? それとも・・・ それなら・・・ 梨花さんとは何も無いはずだよ・・・ね? ダメだ・・・ 一緒にいる所を見ただけで辛い・・・ 辛すぎる。 「れい!」 「あ・・・湊・・・  さっきは・・・ごめん」 「気にすんな・・・いいって!  それより・・・お前の方が心配だよ  まだ・・・気になんのか?」 「・・・うん・・・  でも・・・大丈夫!  湊、そんな顔しないでってば」 「けどさ・・・」 「僕のことばっかり気にしてたら  舞歌さんが心配するよ?」 「そんな事ないって。  俺の事よりも、お前は自分の心配しろよ」 湊は僕のことを同期だからって以上に心配してくれてる。 元気ださなきゃな! 湊・・・ 自分から事を起こせって言ったよね? 僕にそんなことが出来る力があんのかな? 一歩前に踏み出せれば・・・ そうすれば・・・ 僕は稽古が済むと思い切って累さんに声を掛けた。 「あ、あの・・・今日、暇ですか?」 「あ・・・ああ。  暇だけど・・・」 「じゃあ、カラオケに行きませんか?」 「二人でか?」 「まさか!  舞歌さんと湊・・・それに他にも誘って・・・」 「そうだな・・・行くか!」 「はい!」 累さんに気を遣わせないように 僕は笑顔を絶やさないように 話しかけたつもりでいたけど・・・ 累さんはそんな僕を切なげな瞳で見つめていた。 どうして? どうしてそんな顔をするの? そんな顔しないでよ? そんな顔されたら・・・ 僕は・・・ カラオケで2時間程バカみたいに騒いだ後 店を出るとそれぞれ別れたけど・・・ 「れい、俺たちと一緒に飲みに行こう!  累さんも誘ってきたら?」 湊なりの気遣いだろう。 「うん、わかった!」 その湊の気持ちに応えるように累さんを誘って 累さん、舞歌さん、湊と僕の4人で 湊の行きつけのスナックに行った。 酒に弱いくせに累さんがいるってことに緊張したのか 急ピッチで飲んだ僕は案の定、酔っ払って・・・ 「れい!  お前飲み過ぎだって!」 そんな僕に湊が注意してくれるんだけど・・・ 「だい、じょう・・・ぶれ、す・・・  酔ってな・・・んかいま、せ・・・ん・・・」 自分でも何言ってんのかもわかんなくなってて・・・ 「酔っ払いは酔ってないって言うから始末が悪いよ!」 湊ってば・・・何言ってんの・・・? ・・・あ、累さんが笑ってる・・・ ・・・わらっ・・・てる・・・ 「れい?  おい、れい・・・!  こりゃダメだ~」 「俺が送るよ」 「え?累さん・・・  じゃあ、お願いしても良いですか?」 「ああ、良いよ」 「すみません、お願いします」 「累、ちゃんと送ってあげてね・・・」 「分かってるって。  じゃあな、舞歌、湊・・・」 ・・・へ? 累さんが送って・・・くれるの? ・・・飲みすぎた・・・? フラフラする~・・・ あ~・・・ このまま累さんと二人きりでいたいな~・・・ 「れい!起きろって」 「は・・・い・・・」 僕はふら付く足で立ち上がると 累さんの腕にしがみつく。 「大丈夫か?」 「あい・・・」 「あいって・・・そうとう酔ってるな」 「あい・・・」 そこからの記憶は・・・ スッポリと消えていた・・・ あれ? ここは何処だろ・・・ え? え~~~~~~!! もしかして・・・ 累さんと同じベッドに寝てる? へ?なんで? 思い出せ! 確か湊たちと酒を・・・ で・・・ 酔っぱらって累さんの腕にしがみついて・・・ ・・・そうだ! じゃあ、ここは累さんの家? ど、どうしよう・・・ 「れい、起きたのか・・・」 僕は飛び起きベッドの上で正座をする。 「そんなにかしこまらなくても」 「ごめんなさい・・・」 「何を謝ってるんだ?」 「だって、酔っぱらっちゃって・・・ごめんなさい」 「そんな事いいって。  それよりもう少し寝てろ・・・まだ4時だぞ!」 「・・・あの・・・僕、帰ります!」 「どうして?  ・・・帰るなよ、れい・・・」 「・・・累さ・・・ん・・・・・・」 僕を引き留める累さんの真剣な表情に 少し戸惑っている僕がいた。

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