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恋愛 last

俺は一人になって考えたくて屋上に上がった。 そこには梨花さんと潤さんがいて 梨花さんはずっと俺に『ごめん・・・』と泣きながら言い続け 潤さんはそんな梨花さんの肩を抱き さっきまでれいと3人で話していた事を教えてくれ 俺に謝罪の言葉を言い続ける梨花さんに 『累も考える時間が必要だから・・・』そう言って 梨花さんを連れて稽古場に続くドアに梨花さんを連れ消えて行った。 一瞬・・・ 広い屋上にまるで世界からポツンと一人取り残されたように感じたが 俺は空を眺めながら煙草に火をつけ肺まで煙を吸い込むと 何時になく喉に苦味が走る。 ・・・旨くないな・・・ そう思ったものの、それでも煙草を吸った。 胸の中の苦味を一緒に煙草の煙と吐き出してしまいたかったから。 ・・・吐きだせるはずも無いのに・・・ 呟いて苦笑する。 れい・・・ 俺は恋するのと愛するのは違うと思う・・・ 『恋愛』って恋の延長上にある愛の事を言うんだろうか? 俺は時々、考える・・・ 愛するのはそんなに簡単な事ではない。 人を好きになる事は簡単に出来るものだろうけど その人を愛し続けるには 互いの思いやりや温かさが・・・ それ以上に、相手を許し合える事が 必要なんじゃないないかと思う。 第三者が絡んできても耐えられる程の愛が・・・ 今の俺にもれいにもないよな・・・ それが何時か互いに持てた時・・・ 俺もれいもこの恋を受け入れ 愛に変えて行けられるんじゃないだろうか・・・? もしかしたら・・・ それでも駄目になるかもしれない。 けど・・・ その少しでもある希望に俺は賭けてみたいと思う。 だから、俺は・・・ れい・・・ お前を待つよ・・・ お前も俺を待っていてもらえないか? ・・・何時になるか分からないけど・・・ 俺は最後に煙草を吸い込むと 青い空に向かって吐き出し屋上を後にした。 稽古場に戻ると目を腫らした梨花さんが声をかけてきて 「累、ごめん・・・」 まだ謝ろうとするから 「もう、謝らないで下さい」 そう告げると頷き 「れいに話しても分かってもらえなかった・・・」 屋上でれいと話したことを色々と教えてくれたが 「良いです・・・気にしないで下さい」 俺はこれ以上、梨花さんの心に負担をかけたくなくて 二人の事は気にしないで下さいと伝えても 『でも・・・!』と食い下がってくる梨花さんに 「良いんです!  この事はあいつが自分で乗り切らないと・・・  それに俺も・・・  梨花さんとの事を乗り切れないれいを受け止める為にもっと・・・  何かしないと・・・そう思ってますから」 少し声を荒げてしまったが梨花さんは分ってくれたようで 「累・・・」 「俺は俺なりに考えてやって行きますから・・・・」 「累・・・ごめんね」 「だから・・・もう謝らないで下さい。  俺にとってもれいにとってもきっと・・・  良い経験になると思います」 「ありがとう・・・  そう言ってくれると少し気持ちが楽になる・・・」 泣き腫らした目で笑顔を作ってくれた。 そんな梨花さんを優しい眼差しで見守り 話が終わると梨花さんの肩を抱き椅子まで連れて行く潤さん。 何も言わなくても心配しているのが伝わる。 こんな風に何時か・・・ 互いを思い合い、支えられる関係になりたい。 それがれい・・・ お前となら良いのに・・・ そんな事を考えているとれいが傍にきて れいは俺に笑いかけると一言だけ残して行った。 「僕、大人になりますから・・・」 俺はその言葉に・・・ 今はまだ・・・ 何時訪れるか分からないれいとの新しい関係を想い描く。 ・・・二人の未来を・・・ そしてその時が・・・ そう遠くない事を感じながら稽古に戻った。 END

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