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第22話 淫夢と世話係
「ん……っ」
ショウ様は膝を擦り合わせて膝を曲げた。柔らかな太腿の肉に挟まれた手は、動かすことができずにいる。
「ショウ様、足を閉じてしまったら触れませんよ」
私はショウ様の耳朶に優しく囁きかけると、その脚はそろそろと開いた。太腿に挟まれていたショウ様がプルンと出てきて、私はそこを改めて右手で握る。まるで、壊れ物を扱うかのようにそっと扱くと、先端から愛液が溢れ出してきた。
「……どうですか? ショウ様」
「んん……っ」
綺麗なピンク色のショウ様のソコは、愛液の滑りも借りてとても気持ちよさそうです。時折肩や腰を震わせながら、快感に耐える姿は……ってマズイですね。私もなぜかそんな気分になってしまいそうです。これは仕事ですから、集中しないと。
ショウ様の足の指が、曲がったり伸びたりしている。そのうっすらピンク色に色付いた爪すらも愛らしいと思い始めて、私は視線を壁に移した。
「……リュート……っ」
高く掠れたショウ様のお声。下から聞こえる水っぽい音。……この状態で、耳を塞ぐ手段はありませんかね?
「ショウ様、もう少しですか?」
「あ……っ!」
私は早く終わるようにと、空いた片手でショウ様の胸の粒に触れた。そこは既に下と同じくつん、と立っていて、指の腹で弾くように撫でると、ショウ様はビクビクと腰を跳ねさせ、私に体重を掛けてくる。構わずそこを撫でていると、ショウ様は私の手を取り、ギュッと握ってきた。ああ、もうそろそろなのですね。
「リュート……リュート……っ!」
「ショウ様、良いですよ……」
ショウ様のお身体が熱い。かかとで何度もシーツを蹴るショウ様が、とうとう一際高い声を上げた。赤く震える先端から、白濁したものが飛び出し私の手を汚す。
「んっ、……っ!」
胸に当てた手から、ショウ様の大きくて早い鼓動を感じ、私は堪らずショウ様を力いっぱい抱きしめた。もちろん、ショウ様の精液が付かないように配慮はして。
「はあ……ショウ様……」
「……なに?」
「気が済みましたか?」
私は内心「まずいな」と思う。ショウ様の魔力は皆無なはずなのに、抱き締めた腕を離すことができないのだから。そしてショウ様の乱れた姿を見て、私の私も熱を持ってしまっていることを自覚する。
どうしよう、本当にまずいです。
「リュート……?」
ショウ様が不思議そうに私の名を呼んだ。その可愛らしいお声が聞こえるのと同時に、ふわりとあの香りが鼻を掠める。ああ、なぜこんな時に限ってこうなるのでしょう?
「……っ、ショウ様……魔力が……」
私はクラクラする頭を、ショウ様に体重を掛けることで支えると、小さな肩がピクリと震えた。身体に感じるショウ様の体温と、肌の柔らかさを意識しないようにするけれど、勝手に上がっていく息と体温は少しも収まる気配がない。
「魔力? 僕は自覚ないけど……リュート、苦しいの?」
ショウ様のお声が耳をくすぐる。高めで、心地よい声……って、ダメですダメです!
「ねぇリュート……、ちょ、んんっ!」
私は少しだけ、と思いながらショウ様のうなじや首筋に唇を這わせた。やはりなめらかで、イッた後だからか汗でしっとりしていて、可愛らしい……本当に、可愛らしい。
「リュート、苦しいなら手伝うよ?」
「いえ、そういう訳にはいきません」
悪魔の囁きが更に下半身を熱くさせる。理性では分かっていても、身体を抑えるので必死だ。
ああ、まずいですね、視界が暗くなってきました。それでも、気を失っている間に、私もショウ様も落ち着いていればいいか、と私は素直に意識を手放す。
◇◇
「……」
気付いたら、ショウ様の夢の中にいた。ずっと広がる草原以外、何も無い空間だ。
「……っ、なぜ私まで裸に?」
見ると私は一糸まとわぬ姿だった。しかも、夢の中に入る前の身体の状態で。
ああ、これはショウ様に出くわしたらもう抑えられないやつですね分かります。
しかし、ショウ様がいらっしゃらないのなら、逆にチャンスです。現実ではどうにも抑えられなかった衝動を、ここで自分でスッキリさせてしまえばいいのでは、とそんな考えがよぎる。
私は下を見つめた。やはり私の私は元気なままで、よし、となぜか気合いを入れて、ソコに手を伸ばす。
「リュート」
「うわぁっ!! はいっ!」
やっぱりこうなりますよね!! ビックリしたぁっ!!
私はバクバクする心臓を、胸を押さえて宥めると、ショウ様を振り返る。
「……」
ショウ様はやはりいつも通り、一糸まとわぬ姿だ。しかしその視線がある一点を見つめていることに気付き、私は慌てて股間を手で隠した。
「あ、いやこれはですね……っ」
弁解しようとした瞬間、またショウ様から甘い香りが漂ってくる。途端に目眩がしてふらつくと、ショウ様が両腕を掴んで支えて下さる。
「リュート、ここは夢の中だから」
そう言って、ショウ様は私の前でしゃがんだ。何を、と思う前に、ショウ様が口を開けて私を咥えようとしているのを見て、声を上げる。
「待ってくださいっ、……っ、ぅあ……っ」
私は思わず視線を逸らした。これは……こんなのを見てしまっては、耐えきれません!!
しかしショウ様は先程黄色い果物にしたように、舌で撫で、唇で包み、唾液で私を濡らしていく。私は失礼かと思いながらも、ショウ様の髪を掴んでお顔を離そうとした。
「……っ、うう……っ」
でも力が上手く入らず、更にショウ様は私をその小さなお口の奥へ奥へと|誘《いざな》っていく。
「ショウ様……っ、お止め、くださいっ」
「……ひゃら」
多分「やだ」と仰ったのでしょう。……ああダメですダメです、本当に。
「ショウ様っ、本当に、このままでは……っ」
「んー?」
じゅぷじゅぷと、音を立てながら口淫を続けるショウ様。なんていやらしい、なんという背徳感、なんと──可愛らしいショウ様。
ショウ様の手が私の陰嚢も愛撫する。やわやわと握り、さすり、少し後ろに回って蟻の門渡りも……。
しかし、私が快楽に身を任せたのはその一瞬で、覚えのある感覚に我に返る。
「ショウ様……っ、もう離してくださいっ」
「んん……っ」
「……っ、ショウ様! もう出ますから……っ!」
ぐい、と私は思い切りショウ様の頭を掴んで離した。ぶるん、と跳ね上がった切っ先から精液が飛び、ショウ様のお顔に付いてしまう。
「──ッ、う……っ」
強い快感が背筋を通った。迸る精はなかなか止まらず、搾り取られるとはこのことか、と思う程だ。放出はなかなか収まらず、しまいにはダラダラと出続けるそれを、ショウ様は大事そうに細い指で拭った。
「ショウ様……すみません……」
はあはあと息を切らしながら、しゃがんでショウ様に付いた体液を拭う。なんてことをしてしまったんだ、と思っていると、ショウ様は気にした風もなく微笑んだ。
「……気持ちよかった?」
「………………はい」
消え入りそうな声で返事をすると、私はその場で大の字に寝転がる。
賢者タイムの始まりです。
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