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第2話
「沢木っ」
慌てた葉山が料理する手を止めて駆け寄るが、狭い脚立のステップで彰が足を滑らせた。
それを助けようと手を仕掛けから手を抜こうとした……『ガシャぁんっ』「グゥえ」と脚立が倒れるのと同時に声を上げた。
息ができない。首と首輪の隙間はわずかで、そこにおもちゃが挟まったせいで喉に食い込む。指先で首輪を取ろうともがく。首が閉まって苦しい。足が付かずに宙に浮いて、全体重が首にかかる。
着替えた桐生が下から抱き上げる。中に浮いていたのは一瞬だったようだけど、息が止まって視界はチカチカと点滅した。
「ゲホッゲホッ……ゲホッ」
「大丈夫か?」
抱き上げられて首は閉まらなくなったが、首輪がおもちゃの仕掛けに引っかかっていて喉が詰まっていて息が苦しい。自分からは見えないが、おもちゃの仕掛けは下に向かって太くなっていて、落ちれば余計に首を絞める。
桐生がなんとか抱き支えて持ち上げているから息はできるが、男の重さを長くは支えていられないだろう。
手を伸ばしておもちゃを外そうともがくが、自分からは見えなくて外すことができない。
「ユキ、上から外せないか?」
階段を上がって外そうと手を伸ばすが、階段には柵があって手を伸ばしても僕の首までは届かない。
「脚立を戻すよ」
階段を降りた葉山が脚立を戻して足をつくようにしてくれるが、首が閉まって暴れた時に余計におもちゃに挟まってしまったらしく痛みがあった。
「手を離すぞ」
脚立に立ったのを確認して抱き上げていた手を桐生が離すと自重で首が閉まる。
「アキ、危ないよ。沢木さん息ができないよっ」
桐生が慌てて抱き直す。
「どうしよう」
血の巡りが悪いのか顔が熱くなるのを感じる。どくどくと心臓の音が聞こえる。首輪が当たっているところがひどく痛む。食い込んで皮膚が切れたようだ。
「うわっ、なんだ」
桐生が慌てた声を上げた。
『ビィィィ……ビィィィ……』
「……な、に?」
「赤く光ってるぞ」
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