冷たい保冷剤が傷に触れると痛みを与えた。 「これ、滲み、る」 　絞り出した声はひどく擦れていた。痛みに保冷剤を返す。 　その声を聞いて葉山の顔色が変わる。 　番解消の痕もあるのにまた痕をつけると悲惨だな。首がしまったせいか、喉が痛い。 「んっ、声、喉が、痛い」 　声は掠れて喉がひどく痛んだ。 「首が締まった時に痛めのかもしれない。病院に行ったほうがいい」 　桐生は、「ユキ、病院に連れていく」と葉山に声をかけた。 　僕のスマホが振動して着信を告げる。 　床に落ちた首輪は赤いランプを光らせて異常が起きたことを伝えていた。 　病院に行って検査を受けた。首が締まって喉仏が呼吸器官と食道を圧迫して喉に傷ができていることが分かった。声帯も痛めているようで掠れた声が元の声に戻るかは分からないと言われた。 炎症止めと首周りの傷ぐすりを処方されて、痛みが治るまで声をあまり出さないように診断された。鏡で見た首には横に赤黒く鬱血した痕が残っていて裂傷ができていた。そして首輪の代わりに包帯が巻かれた。 　こんな首輪なんてするから……。 　鳴り続けるスマホは電源を落とした。 　家に帰ると彰は既に寝ていて、葉山はひとしきり謝ると喉にいいからと日本から持参していたのど飴を大量に渡した。 「和人さんから電話があって、説明はしておきました」 　病院に行っている間にここに電話があったらしく、葉山が和人に説明してくれたらしい。 「……もぉ、お。そいから……」 「ああ、わかった。帰るんだろ」 　桐生は立ち上がると、「声出さなくていい」といって背中を叩いた。 　脚立から落ちた時に桐生が咄嗟に庇ってくれて大したことは無かったが、桐生は左腕を打撲して病院で湿布を処方された。 「あのおもちゃは片付ける」 「その方がいいね。次は彰が怪我をするかもしれないし」 　葉山と桐生は話し合っておもちゃを片付けることにした。 「か、えり、ます」 　声をかけてすぐ近くのアパートに向かった。