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第17話
和人は寝室になっている部屋に荷物を持っていくと、「ここに置くから」と言って荷物を下ろした。何を買ってきたのか覗き込むと、着替えのようだったから、壁面収納になっているクローゼットを開けて、指差した。
「ここに置いていいの? ありがとう」
和人はクローゼットの空いているスペースに買い物袋から取り出した物を詰め込んだ。
「ああ、ひなたシャワーしてきて。俺は適当にしてるから」
頷くと着替えを取ってシャワーに向かった。和人は布団を取ってくると言ってまた出ていった。
包帯をほどいてシャワーを浴びる。洗い終わって部屋に戻ると和人はローテーブルにタブレットを出していた。和人の横には空箱がいくつか置いてあって、何も持ってきていないと言うから購入したんだろうか。安い買い物ではないと思う。
「髪、乾かしてあげるよ」
和人が言うのを断って、もう一度バスルームに戻ってしっかり乾かして戻る。1人だと気にしないからつい、いつもの感じで出てしまった。寝巻きもおかしくはないかとチェックする。寝巻きと言っても部屋着のスウェットだ。
タブレットの空き箱を拾うと、「ああ、最新機種が出てたから。今までのは遅かったんだよ」と自分の横に置いてあるカバンからタブレットを取り出してみせた。
本当に欲しかったのだろうかと心配になったけど、古い機種も持ってきているのなら、わざわざ購入した物ではないのだろうと少し安心した。
「ひなた。ホットミルクでも入れようか?」
首を横に振る。
あなたは何を飲みますか?
車の運転があったからアルコール飲めませんでしたね。
「コーヒーは刺激物だからあまり良くないよ。紅茶もカフェインが入っているし。アルコールはもちろんダメだけど」
今はいらないと口パクで伝える。
和人は丁寧に傷の手当てをしてくれて、包帯を巻き直してくれた。
「俺はもう少し設定とか仕事するから、先に寝てていいよ」
何時までしますか?
自分のタブレットがテーブルに置いてあったので、『僕も仕事する』と表示してみせた。
「早く寝るんだよ?」
言われて頷いた。和人は僕より3歳上だけど、どうも子ども扱いされているように感じるのはこの口調のせいだろうか。
桐生に対しても同じように柔らかい感じで話すから普段がこうなのだろう。
タブレットを開いて第二秘書に連絡をする。リアルタイムでやり取りできるアプリを開くと、昨日からのあらましを伝えた。
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