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第39話

 和人と一緒にやってきた男が声をかける。和人が無理矢理に僕を離すと、「俺のアパートに連れて行く」と言って、和人が腕を掴んで歩き出す。足がもつれて引き摺られるようにして連れていかれる。 「もうすぐだから」  和人がすぐそばのアパートに入った。明るいエントランスには管理人がいて、和人が挨拶をするとドアを開けてくれた。 「ここの3階」  エレベーターに乗り込むと同時にキスをした。噛み付くほどに合わせた口づけは歯がぶつかって痛みを伴うけど、甘い舌には叶わなくて背伸びをして求めた。両腕を回して引き寄せて激しく口づけを繰り返す。  すぐに目的の階について、「待って、待って」と言いながら鍵を開けた。 「うっ、わぁ」  足がもつれて玄関に倒れ込んだ。 「も、ぅ、助けて。和人、欲しい」  自分でも熱を持て余して涙が溢れる。甘い香りが溢れている。  和人に跨るようにして身体を起こすと、雨ですっかり濡れたジャケットを脱ぎ捨てる。 「熱い……和……」 「分かった。ひなた。分かったからまずは風呂に……」 「なんでっ……すぐって……」 「すぐなのは俺の家だって。ひなた」  頷いて和人の着ているYシャツのボタンを外そうとするが指先が震えて外れない。 「ひなた。待って」  和人が僕を押さえて起き上がる。僕を押さえつけたまままだ履いたままの靴を脱いで、僕の靴も脱がせた。 「落ち着いってって、できないよな」  和人が僕を抱きしめて、「ほら、全部渡すから」と言った。 「早くっ……」 「でも、ちょっと待って」  和人が僕を離すと手を繋いで廊下を進んでいく。 「ここで待って」 「やだぁ……」 「大丈夫。すぐに戻る」  リビングらしいそこの椅子に座らせられるけど、和人の腕を掴んだ。 「待って。すぐだから」  和人が奥の部屋に向かっていって、ガタガタ音がしてすぐに戻ってきた。 「ヒート落ち着かないと……」

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