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第48話

 和人の間伸びした柔らかい声が熱を持っているのが分かる。甘い香りが和人からも溢れている。  その声にこちらの香と混ざり合う。 「はぁ、ひなた。そこの引き出し」  ベッドのヘッドボードにはライトと小さな引き出しがついている。その引き出しだとすぐに分かった。 「暴走、したら、打っていいから」  さっき僕に打った即効性の抑制剤だろう。 「蓋を取って首に押し付ければ大丈夫」  和人の声は掠れている。興奮に熱く掠れているのが分かる。  頷いた。だけど、僕が打つことはないだろう。 「んあぁっ、か、かず、とぉ」  ゆるく動かしていた腰を大きくスライドされて敏感な内壁を熱くたぎった物に擦られて快感に仰け反った。  感じすぎて悲鳴にも似た声が上がる。強烈な快感が身体を支配して、だげど、もっと、もっとと和人の腰に足を荒めて引き寄せる。  首に回した両腕で和人の頭を引き寄せて、その唇に口を押し付ける。  腰を穿ちながら激しい口づけをする。  息が苦しい。  むせ返りそうなほどの甘い香りが部屋中に充満する。互いの荒い息と結合部から溢れる水音が響く。 「ああっ、だめっ」  和人が大きく腰を動かしてそのまま抜いた。抗議の声を上げると、「こっち」と言って僕をうつ伏せにひっくり返して、腰を持ち上げた。猫が背伸びをするような格好になって、急な動きに驚く間も無く、和人は後ろからずんっと最奥を突き上げた。腰を掴まれて今まで感じたこともない奥をいきなり突かれて仰け反った。  これまでとは違う場所に擦り付けられる感覚に新たな快感が生まれる。  背中に和人が小さな痛みを伴って口づけをする。 「ああつ、だ、激しぃ……ああっ、あ」  訴える口から溢れる声と甘い嬌声。求めているのか、拒んでいるのかわからない。 「ここかな」  耳のすぐ後ろから声がして、奥を突いた和人の切っ先がグリっと内壁に擦り付けられた。 「ああぁ……ううっ」  身体が大きく跳ね上がった。和人が小刻みに突き上げてきて、悲鳴をあげる。  顔をシーツに押し付けても腰は和人からの快感を搾り取ろうとうねる。中も和人のそれを搾り取ろうとうねっている。

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