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第52話

「会社が違うんですか? じゃあ、この間桐生と話していたお父上に承諾をって話は?」  同じ桐生家の会社に属していると思っていたけど、違うってことだろうか。 「それは、俺が桐生グループは継がないって話だよ。統括して親父が社長をしてきたけど、グループを解散して分社化してアキがホテル業界、俺が飲食業界、不動産、IT、観光事業とか細分化して別の会社にする予定なんだよ」 「そんなこと初めて聞きましたが……」  秘書をしてるかたそんな大きな動きがあれば耳に入ってくるはずだ。  だけどそんなことは聞いてない。 「まだ決まってないから。アキがグループ社長に就いたらすぐに始める大規模事業で、親父にも話が通してある。全部の事業を一手に引き受けるには会社が大きくなりすぎたんだよね」  和人は言いながらサラダを取り分けてくれた。 「いつですか?」 「うーん。いつかなぁ。親父もまだ元気だからもう少し先かな。ああ、でも、俺の飲食関係の独立は年内だから」 「そんなにすぐなんですか?」 「そうでもないかな。前から進めてた話だから」  新規店舗だけの話ではなかったということだろう。桐生家の事業から飲食関係の仕事を和人が引き取って社長に就任するってことだろうか? 「俺は元々桐生グループに属してる訳じゃなくて、数人のスタッフと飲食関係のプロデューサーをしているから別会社なんだよ。ひなたには店舗マネージャーとしてスタッフに入ってもらう予定だから」 「何するんですか?」  店舗スタッフが何をするかが見えてこない。 「まずは新規店舗のプロデュースの会計担当をしてもらって、その後はマネージャーとして俺の会社の会計をお願いしようと思います」  それで会計士の資格があるか確認されたのか。 「それに、今まで秘書していたからスケジュール管理もできるでしょ。俺には必要な人材なんだよ」 「僕にできる範囲なら、よろしくお願いします」  頭を下げると笑って、「ひなたじゃないとできないよ」と頭を撫でられた。 「それに、俺がもう手放せない」  顔が赤くなるのを感じて、俯いてご飯を口に押し込んだ。 「ひなたが努力家で誠実な人間であることを俺は知ってる。アキだって認めてる。それに、側にいてくれないと心配でたまらないんだよ」 「そんなにドジばかりじゃないですよ」

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