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違和感
素晴らしい毎日に違和感を感じ始めた。
恋人を創るために必要だった、そして、まだしなければならない軍の研究を行うために、週に4日はでかけなければならない毎日がもどってきた頃からだ。
権力と金はここから発生しているので仕方ない。
軍のための化け物をつくってやらねばならない。
これからも恋人を所有するためにはそれがいる。
誰にも手だし出来ないようにしているからこそ、禁断の研究で恋人を作り出せたのだ。
恋人の正体は軍には教えてない。
人体実験をして作りだしたと思っているだろうが、まさか一から作り出したとは思っていないはずだ。
本当の研究成果を軍に教える必要はない。
恋人を置いて出ていくのはつらかった。
カメラで見つめるしかない。
恋人に追跡装置などをつける必要はない。
恋人は絶対に裏切らない、そう作ってある。
研究の合間に家に設置した恋人を見たりした。
恋人は窓の外をみつめ、マスターが帰るのを待っている。
可愛くてたまらない。
家に戻ると直ぐに抱いた。
離れた分たっぷり可愛がった。
恋人はもうセックスにすっかり慣れて、されてる途中でも甘えてきて。
かわいすぎた。
だが、いつの頃からか違和感が生まれた。
恋人が眠りながら泣いているのだ。
悲しげに。
ゆり起こせば、何もかもなかったかのように微笑む。
嬉しそうな笑顔で。
不安になって、強引にいきなり穴を貫いたなら、直ぐに溶けてあえぎ、セックスにおぼれる。
けれども。
泣くのだ。
毎日。
眠りながら。
苦しげに。
切なく。
セックスが始まると、そんなことはなかったように、自分を欲しがり求めて、イキ狂うのに。
違和感。
違和感。
自分を笑顔で送り出したあと、振り返ってみると、窓から泣いてる恋人が見えることもある。
自分を慕い、自分のためになんでもするように作っている。
それがよろこびだと。
なのになんで。
不安になった。
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