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裏切り

恋人はそれでも窓の外を眺めるのをやめない いつも青年が通る時間に抱いて、窓の外を見せないようにしても、その後で、窓の外、青年がいつも立つ場所を見て、切ない顔をしている。 こんなに蕩けて、自分から欲しがるくせに、それでもあの青年を思うのをやめない。 許せなかった。 問い詰めても、そんなことはしてない、と言う。 ウソはつけないので、本当そう思っているのだ。 自覚のないまま恋をしている。 自分というものがありながら。 本能として自分を愛しながら、理解できないまま恋をしている恋人がにくかった。 憎いから。 青年が来る時間、あえてあの窓の前で見えるようにして恋人を犯した。 恋人は嫌がろうとした。 でも、嫌がることは出来ない。 そう作ってある。 マスター マスターどうぞ犯して下さい と言って、言われるがまま、窓に手をつき、その姿勢のまま犯されていた。 マスターのペニスを後ろに入れられたなら、もう乱れるだけだ。 そう作ってある。 青年がいつものように現れるのを恋人も見たはずだ。 でも、その時恋人は1番感じる場所を抉られて、いやらしい言葉を口にしながらイキ狂っていた。 好き そこを好き 僕のいやらしい穴を犯してぇ そう叫びながら、でも泣いていた。 青年が見上げていたからだ。 自分も青年を見ながら恋人を犯した。 見せつけるために。 恋人がどんなに乱れるかを。 恋人が誰のモノかを教えるために。 窓に手をつけさせ、尖った乳首をいじりながら、奥を楽しむようにうごくと、淫らな恋人は髪を振り乱し、勃起したペニスから白濁を窓ガラスに飛ばす。 いいっ いいっ もっと そう叫びながら。 青年は目を見開き、でも目をそむけない。 その顔を見ながら、ガラス越しに恋人のいやらしい乳首のしこり方を青年に教えてやる。 後ろを突かれながらそうされると、恋人が、どれほど喜ぶかを、じっくりと見せてやる。 コレは自分のモノだ。 コレをこう出来るのは自分だけだ。 青年を睨みつけながら、恋人を楽しんだ。 恋人はそうされて泣きながら狂った。 青年に見られながら犯されて悲しくて、でもマスターに犯されるのは好きすぎて嬉しくて。 泣く。 泣いてる理由すらわからないくせに。 マスターのDNAが恋人を狂わせる。 自分の奥深くを抉るソレしか欲しくないと思う。 そう作ってある。 締め付けて、離さないと中から欲しがって。 それを教え込むように襞を裏返すように激しく動く。 気持ちいい 気持ちいい マスター好き マスター!! グボグボしてぇ メスに、してぇ 泣いて感じて尻を振って、また窓に精子をぶちまけて。 なのに。 みない、で お願いみないで それでも言葉がこぼれ出した。 恋人は青年を見て泣いた。 身体はこんなに喜んでいるくせに。 それが許せず、執拗に責め続けた。 恋人は立て続けにイク。 身体も本能もマスターだけを求めて。 マスターマスター 好き 愛してる そう叫びながら、 その美しい目は青年を見て涙を流し続ける 青年が、うつむき立ち去っても。 恋人を責めるをやめられなかった。 それでも。 青年は次の日また来たのだ。 予想外だった。 カメラで確認してしまった。 青年は窓を見上げていた。 そして、恋人が窓にすがりついて泣くのを、見ていた。 まるで青年にすがりついて泣いているかのように。 二人の間に何かが流れるのを、出先のカメラから見て、怒りが止まらなくなる。 許さない。 許さない。 これは裏切りだ。

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