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解放
マスター愛してる
愛してるマスター
ゆるしてぇ
ゆるしてぇ
声が屋敷に響く。
嗜虐が止まらなくなった。
毎日毎日、恋人を責め苛む。
今日は恋人のペニスの穴に細い器具を差し込んだまま、後の穴を玩具で虐める。
手は後ろ手に縛り上げてある。
足も縛ってある。
昨夜は吊るして虐めぬいた。
後ろの穴を散々玩具だけつかって。
後ろの穴だけはマスターの性器ではないとイケない、そしてそこでイカされないと満足できない身体にされている恋人は、ずっと泣いている。
マスターの
マスターの
おちんちんをください
泣きながら淫語を叫ぶ。
教えた誘い方を必死で実行しているのが哀れだ。
ひくんひくん全身が痙攣しているが、ペニスはふさがれ、後ろではイケず、出口のない快感に焼かれている。
「ほら、お前の好きなモノだ。しゃぶれ。好きなだけ」
恋人に命じる。
口しか使ってやってない。
それでも恋人はイケるが、それでは足りない。
中が欲しくて欲しくてたまらないはずだ。
昨夜からずっと後ろに入れてやってない。
ここを虐められないと満足できない身体に作られているのに。
それでも恋人は夢中でしゃぶるのだ。
喉奥まで使って。
それでもそこで感じるのだ。
マスターのモノだから。
貪るように舐めて、しゃぶって、飲む。
そう作られているから。
そう作ったから。
頭を押さえつけ、酷く犯したのに、むせながら、涙を流しながら、それでも微笑み自分を見上げる。
マスター愛してる
そう言うのだ。
優しさなんて与えてないのに。
泣いたのは自分だった。
そう作ったのに。
自分だけを愛するように作ったのに。
この世界に一人だけの美しいモノを作ったのに。
恋人には自分だけじゃない。
マスター
マスター
泣かないで
苦しみを忘れて恋人が叫ぶ。
手足を縛ってなければきっと自分を抱きしめたに違いない。
ごめんなさい
ごめんなさい
マスター
僕はどうしたらいいの?
責め苛まれても、恋人は自分をおもう。
そう作ったから。
何より自分を優先するように。
自分のためなら喜んで死ぬし、死ぬまで責め抜いても死の間際にも愛してると心から言うだろう。
そう作った。
だからこそだからこそ、美しく愛しい。
なのに。
泣いてしまう。
泣いてしまう。
こんな結果になるなんて。
泣かないで
マスター
愛してる
恋人が泣く。
そして、満たされない苦しさに身もだえする。
苦しんでいる。
でも、自分の心配をする。
言葉も涙も ウソじゃない
ウソじゃないから辛い
恋人を解いた。
ペニスに刺した器具を抜き、穴から玩具を引きぬいた。
あああっ
ひうっうっ
恋人はペニスから射精し、引き抜かれて呻く。
でも。
後ろでイケない。
そこをマスターに犯されない限り。
優しくキスした。
可哀想な程に飢えてる身体はそれにさえイく。
マスター?
恋人はそれでも自分の涙をその指でぬぐうのだ。
「楽にしてやろう」
自分でも思わなかったやさしい声。
恋人の脚を広げて、ゆっくり突き立てた。
ああっ
いいっ
待ち焦がれたモノを得て、ヨダレを流す恋人の頬を撫でた。
ゆっくりゆっくり動いた。
そんな動きでも、飢えきった身体は何度もイク。
気持ちいいか?
優しい声で聞いた。
気持ちいい
気持ちいい
マスター好き
マスター愛してる
恋人は蕩けたようになって声を零す。
こんな風に優しく抱いてやったことなどなかったな、とおもう。
どう扱っても恋人は感じるから。
ゆっくり深く動いた。
楽しむためではなく、感じさせるために。
溶けて混じり合うような快感は、今まで恋人としたセックスですらなかったもの。
溶けちゃう
とける
わかんない
恋人の声はうわごとのよう。
愛しかった。
愛しかった。
ただ恋人が愛しかった。
マスター嬉しい
マスター嬉しい
マスターやさしい
好き
好き
恋人が言葉を零していく。
何度もイキながら、蕩けるように。
そんな恋人も初めてだった。
いつも狂ったように、苦痛とくるしみの境目で絶頂を味わっているのに。
なあ、最初からやさしくしていたら
私を愛するだけじゃなく
私に恋してくれてたか?
聞いてみて、馬鹿なことだと思った。
設定が間違っていたのだ。
自分を愛するだけでなく、他の誰もを愛せないように作るべきだったのだ。
設計ミスだ。
作り直せ。
壊してしまえ。
失敗作だ
そうおもう。
そうおもうのに。
マスターは優しいよ
優しい
今も僕を許してくれた
恋人が言う。
壊してしまって新しいのを作ればいい
それでいい
そうおもう
思うのに。
嗚咽しながら射精した。
最後の恋人の中は。
今までで1番気持ち良く、悲しかった。
恋人抱きしめて、何度もキスをした。
名残惜しく、身体を離した。
気を失った恋人の髪に口づけ、指に口づけ、
部屋を出た。
手斧がどこかにあるはずだった
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