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メンバーとの出会い✦side蓮✦1

 休憩所の自販機で、砂糖入りのコーヒーを選んでボタンを押した。  やや疲れを感じるので、砂糖を摂取しようと思ったからだ。 「あれ、間違えたのか? それ」  秋さんが、俺の手元の缶コーヒーに目線をよこしてそう聞いた。 「ううん。今日はちょっとこっちにしようと思って」 「ふぅん」  並んでソファに腰を降ろすと、秋さんがうーんと伸びをしてコテンと俺の肩に頭をのせる。 「あー疲れた。眠い」 「うん、俺もちょっと疲れたな」  秋さんの頭に頭をのせ返して、二人で寄り添って目をつむっていた。撮影の合間の休憩時間。 「おわ。あれ秋人か?」 「だな、見間違いかと思ったわ」  秋人、と聞こえてそちらを見ると、男の人が二人近寄ってくるところだった。 「秋人ー。せっかく顔だしたのに休憩かぁ?」 「こっちがうわさの蓮くんかな? はじめまして」 「あ、はじめまして」  誰だろう? と思いながら挨拶のために少し体を起こす。秋さんも一緒に、もそっと動いて「どしたの二人?」と眠そうに聞いた。  そうだ秋さんのグループの人達だ、とそこでやっと思い至った。 「俺らバラエティの収録終わったとこでさ。お前の撮影こっそりのぞきに来たのに、休憩とぶつかるとかタイミング悪いわー。あ、はじめまして蓮くん。リュウジです」 「はじめまして、神宮寺蓮です」 「俺は京。よろしく」 「あ、よろしくお願いします」  二人と握手をして頭を下げた。秋さんのグループは全員で八人。リュウジさんも京さんもすごく良く知ってるのに、すぐに分からなかったことに申し訳なくなった。 「あ、じゃあ俺は楽屋戻ります。どうぞごゆっくり」  立ち上がってペコッと頭を下げたら、秋さんが腕をつかんできた。 「なんで? いろよここに」 「あ、でも」 「蓮くん座って座って。俺らなんも用事ないし、逆に邪魔して申し訳なかったね」 「いえ、そんなっ」  そのまま引っ張られて、再び腰を降ろした。 「そういえば秋人、新曲の振り付けがさ――――」    三人が次の歌番組の収録について話をしている横で、手持ち無沙汰な俺は缶コーヒーのプルトップを開けた。一口飲んで眉が寄る。失敗した。甘すぎた。  俺が一人で固まっていると、隣でふはっと秋さんが笑った。 「やっぱ飲めねぇの?」  そう言って俺を見ながらクスクス笑う。 「いつもブラックなのに、ずいぶん甘いの選んだから。そうなるんじゃねぇかなって思ってた」 「……もうちょっと微糖かと思って」 「ん。こっちやるよ」  開けていないブラックコーヒーを手渡してきて、飲みかけの缶を俺の手から取りあげた。 「え、でもそれ飲みかけだし」  断ろうとしたけれど秋さんは気にせず口をつけて、一気に半分くらいゴクゴクと飲んでしまった。 「ん、疲れてるから丁度いい」  そう言ってふわっと微笑みかけてくれた。秋さんの優しさが心にしみる。  本当に、好きだなぁ、とあらためて思った。

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