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確かな気持ち✦side蓮✦2

「美月さん、あの、それもう終わりでいいかなって」 「ん? あれれ、どうしてかな? もしかして何か進展があったのかな?」  目がキラキラしてる美月さんから視線をはずす。なんか色々問い詰められそうで怖い。   「いや、進展……とかは別に無いけど……」 「ふぅん?」  離れたところにいたのにソファに座ってる俺のところまで、スススっと寄ってきてテーブルに手と顎を乗せるようにしてしゃがみ込む。  ジーッとこちらを見てくるので、「な、なに?」と問いかけた。どもってしまった。   「じゃあなんでもう終わりなの? 始めたばかりなのに」 「えっと、それは……」    秋さんへの気持ちがはっきり分かったからと言ったら、あの車の時のように大騒ぎになりそう。いや確実になる。 「ねえ、あの日秋人くんと何かあったでしょう?」 「な、何かって何? なんも無いよ。あるわけないでしょ」 「嘘。隠しても私には分かる」    ニヤニヤした顔で迫ってくる。   「全部白状しなさい」    期待を込めたギラギラした目で詰め寄ってくる。   「本当になにもないってば」 「あやしい。絶対何かあったでしょ。じゃなきゃ急に終わりにしたいなんて言わないよね?」  もうすでに確信持ってそうな、その顔がいやだ。  でもいくら今まで相談していたからって、何もかも話すわけにはいかない。  話したらどれだけ大騒ぎになることか。   「あの、とにかくこれだけは言っておくけど。俺の気持ちは絶対に言えないから、これ以上期待しないでね」 「ええ! なんで? 言ってよ好きって。ずっと待ってるのに!」 「は、はぁ? 勝手に待たないでよ。この前と言ってること違うよ、美月さん……」  急に何を言い出すのか分からなくて本当に疲れる。  他では何も困らない優秀なマネージャーなのに、この腐女子モードをなんとかしてほしい。   「あれ? 私なんて言ってたっけ?」 「この際、片思いでもいいって」 「ああ、そうだったねぇ。ふふふ。だって、絶対なにか進展してるっぽいんだもん。これはそろそろ告白イベントがっ!」 「ありませんっ」 「えー。つまんない」 「美月さん口とんがってますよ」 「とがらせてるのっ!」  テーブルをバンバンと叩いてまるで子供だ。  小さい子供の子守は喜んでするけど、大人の子守りはさすがにごめんだ。 「美月さん、大人モードのボタンどこですか? 押しますよ」 「脳内ですぅっ」    しぶしぶというように立ち上がって「あれ。敬語に戻ってる」と面白くなさそうな顔になった。   「ねえ、検証終わりは分かったけど、だからって敬語に戻すことはないでしょ?」 「敬語はその、社会人のけじめっていうか……戻したいかなって。年上の人にタメ口ってどうしても落ち着かないんですよ」 「……ま、蓮くんだもんね。仕方ないか」  荷物をまとめて最終確認を終わらせ、二人で楽屋を出ようとしたところで突然美月さんが立ち止まった。 「どうしたんですか?」 「ねえ蓮くん。秋人くんへの気持ちは、役の気持ちじゃなくて蓮くんの気持ち、で間違いなかったでしょ?」 「…………っ」  どうしてこう無防備なところに核心を突いてくるのだろうか。  油断していたから表情に全部出てしまった。 「うんうん。そうだろうとも。今後もなにかあれば手助けをしてしんぜよう」  ドヤ顔の美月さんに、もうため息しか出ない。  明日から色々とやりづらいな、とうなだれたが、騒がれなかったのは助かったと安堵した。      

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