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両想いのその先は……✦side蓮✦4 ※
秋さんと今ベッドにいる。これからすることを考えただけで、心臓が今にも破裂しそうだった。
なんとか心の準備をしたつもりだったのに、舞い上がりすぎておかしくなりそうだ。
「……んっ、ぁ」
漏れ出る秋さんの声に、下半身がうずく。
なんだかまだ夢みたいで信じられない。
夢中でキスをしていたら、さっきまで吐息を漏らしていた秋さんの口から、笑いが漏れ始めた。
「え、なんで笑ってるの?」
「……お前の心臓、やべぇなって思って」
桜色の頬で息の上がった秋さんが、ふはっと笑う。
「えっ、聞こえないよね?」
「聞こえる」
「うそだ」
「うそじゃねぇって」
背中にふれていた手を心臓のあたりに当てて、「ほらな」とクスクス笑う。
秋さんが時々そうやって手を当てて『趣味』だと言っていた。その意味がやっと分かって、過去の分まで恥ずかしくなった。
「すげぇ嬉しい。お前の心臓の音」
「……秋さん、好きだね。心臓の音……」
「お前限定な」
首にまわった腕にグッと引き寄せられて、唇をふさがれた。
台風の翌日も、嫌われてないと分かるから好きだと言っていた心臓の音。『趣味』は、出会った当初からずっと続いていた。
「……秋さん限定の、ドキドキだよ」
そう言うと嬉しそうに笑った。
絡めた指がスリスリと俺の指を撫で、ぎゅっと握る。目を合わせると幸せそうに微笑んで、俺の背中を優しく撫でた。
愛しくて愛しくて、もう夢中で唇をむさぼった。
脳がとろけてしまいそうなほど、長いキスをした。
「んっ、……なぁ、蓮……」
「ん?」
「……長ぇよ……キス」
「えっ、ご、ごめんっ」
ガバッと身体を起こして謝ると、「キスは嬉しいけどさ」とモゴモゴ言って、少しにらむように俺を見る。
「早く次進めよ。バカ……」
照れ隠しのようににらむ秋さんが可愛すぎて、もう心臓が破れそうだ。
秋さんが身体を起こして、俺のパジャマのボタンをはずし始めた。
「あ、自分で」
「いいから。蓮も俺の脱がせろ」
「う、うん」
キスをしながら、お互いの服を脱がせ合う。
「蓮、緊張してる?」
「……し、してる」
正直に答えると、秋さんは優しく微笑んだ。
「大丈夫。俺もすげぇ緊張してるから」
「え……本当?」
半信半疑で問うと、はだけた胸に俺の手を押し付けた。
手のひらに感じる、ドッドッと響く力強い鼓動。
うるさいくらいに鳴っている自分の鼓動と、まるで共鳴するように重なった。
「……な、同じだろ」
「……うん。すごい嬉しい」
「だからもう開き直れって。お前得意だろ、それ」
「……そっか。うん、そうだった」
秋さんにドキドキするのは通常運転。いつもそう開き直ってた。そうだった。緊張するのも通常運転だ。
秋さんが笑って「お、余裕出てきたじゃん」と、頭をワシャワシャと撫でた。
またキスをしながら、残りの服を脱がせ合った。
台風の日には脱がせられなかった秋さんの服。今日は脱がすことができた。
もう吸い込まれるように、秋さんから目が離せない。
「……秋さん、綺麗すぎ……鼻血出そう」
「なに……言ってんだ、ばぁか」
照れるように顔を赤くする秋さんに、耐えられなくなって再びベッドに押し倒した。
ぎゅっと抱きしめると、秋さんの手が背中にまわって抱きしめ返してくれた。
「……やべぇ。なんかもう……これだけで気持ちいい……」
ぎゅっと抱きついて「すげぇ幸せ」と小さくささやくから、たまらなくなって唇をふさいだ。
唇を少しずつずらし、あごから首、耳に舌を這わせながらキスおとす。
「……ん、……はぁ」
首を舐めるとビクッと身体をゆらして、ぎゅっと背中にしがみついてきた。ものすごく可愛くて、胸がぎゅっとなった。
秋さんの片手を取って枕元に戻し、また指を絡める。
秋さんの口が、嬉しそうに笑みの形を取った気がした。
首筋にジュッと吸い付くと、吐息がどんどん熱を帯びてくる。
「……ぁ、……んっ」
秋さんの漏らす吐息を聞くだけで、もう俺のそこは硬くなっていった。
余裕なんてすでにない。初めての愛撫でやり方すら分からない。
秋さんに気持ちよくなってほしい。ただそれだけだった。
秋さんの身体を、舐めてキスしてドロドロに溶かしたい。
とにかくやりたいと思うことを、ただひたすらやった。
「ぁっ……」
キスをするように耳孔に舌を入れると、身をよじって声を漏らす。感じてくれたことに嬉しくなって、しつこく耳を舐めた。
「んっ……」
「秋さん、好き。大好き」
耳を舐めながらささやくと、身体を震わせて絡めた指に力が入った。
「……うん、俺も……好きだよ」
秋さんが紅潮した顔で俺を見て、優しく笑う。
うなじをサラサラと撫でられて、気持ちよくて思わずぎゅっと目を閉じた。
秋さんの綺麗な白い肌に手をふれた。
身体中を撫でて舐めてキスをした。時々くぐもった声を漏らし、絡めた指に力が入る。
俺のでたらめな愛撫でも感じてくれている。それがすごく嬉しかった。
胸の突起を愛撫したが、秋さんはしばらくくすぐったそうに笑っていた。
それでも諦めずに刺激し続けると、だんだん余裕をなくしたように、吐息が漏れ出す。
突起に吸い付きながら、反対の乳首をつまんだとき、
「……ぁあっ」
と、ひときわ高い声が漏れた。嬉しくなった。
顔を上げて秋さんを見ると、びっくりした顔で頬を赤らめていた。
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