65 / 173

両想いのその先は……✦side蓮✦4 ※

 秋さんと今ベッドにいる。これからすることを考えただけで、心臓が今にも破裂しそうだった。  なんとか心の準備をしたつもりだったのに、舞い上がりすぎておかしくなりそうだ。 「……んっ、ぁ」  漏れ出る秋さんの声に、下半身がうずく。  なんだかまだ夢みたいで信じられない。  夢中でキスをしていたら、さっきまで吐息を漏らしていた秋さんの口から、笑いが漏れ始めた。 「え、なんで笑ってるの?」 「……お前の心臓、やべぇなって思って」  桜色の頬で息の上がった秋さんが、ふはっと笑う。 「えっ、聞こえないよね?」 「聞こえる」 「うそだ」 「うそじゃねぇって」  背中にふれていた手を心臓のあたりに当てて、「ほらな」とクスクス笑う。  秋さんが時々そうやって手を当てて『趣味』だと言っていた。その意味がやっと分かって、過去の分まで恥ずかしくなった。 「すげぇ嬉しい。お前の心臓の音」 「……秋さん、好きだね。心臓の音……」 「お前限定な」  首にまわった腕にグッと引き寄せられて、唇をふさがれた。  台風の翌日も、嫌われてないと分かるから好きだと言っていた心臓の音。『趣味』は、出会った当初からずっと続いていた。 「……秋さん限定の、ドキドキだよ」  そう言うと嬉しそうに笑った。   絡めた指がスリスリと俺の指を撫で、ぎゅっと握る。目を合わせると幸せそうに微笑んで、俺の背中を優しく撫でた。  愛しくて愛しくて、もう夢中で唇をむさぼった。  脳がとろけてしまいそうなほど、長いキスをした。   「んっ、……なぁ、蓮……」 「ん?」 「……長ぇよ……キス」 「えっ、ご、ごめんっ」  ガバッと身体を起こして謝ると、「キスは嬉しいけどさ」とモゴモゴ言って、少しにらむように俺を見る。 「早く次進めよ。バカ……」  照れ隠しのようににらむ秋さんが可愛すぎて、もう心臓が破れそうだ。  秋さんが身体を起こして、俺のパジャマのボタンをはずし始めた。 「あ、自分で」 「いいから。蓮も俺の脱がせろ」 「う、うん」  キスをしながら、お互いの服を脱がせ合う。 「蓮、緊張してる?」 「……し、してる」  正直に答えると、秋さんは優しく微笑んだ。 「大丈夫。俺もすげぇ緊張してるから」 「え……本当?」  半信半疑で問うと、はだけた胸に俺の手を押し付けた。  手のひらに感じる、ドッドッと響く力強い鼓動。  うるさいくらいに鳴っている自分の鼓動と、まるで共鳴するように重なった。 「……な、同じだろ」 「……うん。すごい嬉しい」 「だからもう開き直れって。お前得意だろ、それ」 「……そっか。うん、そうだった」  秋さんにドキドキするのは通常運転。いつもそう開き直ってた。そうだった。緊張するのも通常運転だ。  秋さんが笑って「お、余裕出てきたじゃん」と、頭をワシャワシャと撫でた。  またキスをしながら、残りの服を脱がせ合った。  台風の日には脱がせられなかった秋さんの服。今日は脱がすことができた。  もう吸い込まれるように、秋さんから目が離せない。 「……秋さん、綺麗すぎ……鼻血出そう」 「なに……言ってんだ、ばぁか」  照れるように顔を赤くする秋さんに、耐えられなくなって再びベッドに押し倒した。  ぎゅっと抱きしめると、秋さんの手が背中にまわって抱きしめ返してくれた。   「……やべぇ。なんかもう……これだけで気持ちいい……」  ぎゅっと抱きついて「すげぇ幸せ」と小さくささやくから、たまらなくなって唇をふさいだ。  唇を少しずつずらし、あごから首、耳に舌を這わせながらキスおとす。 「……ん、……はぁ」  首を舐めるとビクッと身体をゆらして、ぎゅっと背中にしがみついてきた。ものすごく可愛くて、胸がぎゅっとなった。  秋さんの片手を取って枕元に戻し、また指を絡める。  秋さんの口が、嬉しそうに笑みの形を取った気がした。  首筋にジュッと吸い付くと、吐息がどんどん熱を帯びてくる。 「……ぁ、……んっ」    秋さんの漏らす吐息を聞くだけで、もう俺のそこは硬くなっていった。  余裕なんてすでにない。初めての愛撫でやり方すら分からない。  秋さんに気持ちよくなってほしい。ただそれだけだった。  秋さんの身体を、舐めてキスしてドロドロに溶かしたい。  とにかくやりたいと思うことを、ただひたすらやった。 「ぁっ……」  キスをするように耳孔に舌を入れると、身をよじって声を漏らす。感じてくれたことに嬉しくなって、しつこく耳を舐めた。 「んっ……」 「秋さん、好き。大好き」  耳を舐めながらささやくと、身体を震わせて絡めた指に力が入った。 「……うん、俺も……好きだよ」  秋さんが紅潮した顔で俺を見て、優しく笑う。  うなじをサラサラと撫でられて、気持ちよくて思わずぎゅっと目を閉じた。    秋さんの綺麗な白い肌に手をふれた。  身体中を撫でて舐めてキスをした。時々くぐもった声を漏らし、絡めた指に力が入る。  俺のでたらめな愛撫でも感じてくれている。それがすごく嬉しかった。    胸の突起を愛撫したが、秋さんはしばらくくすぐったそうに笑っていた。  それでも諦めずに刺激し続けると、だんだん余裕をなくしたように、吐息が漏れ出す。  突起に吸い付きながら、反対の乳首をつまんだとき、   「……ぁあっ」    と、ひときわ高い声が漏れた。嬉しくなった。  顔を上げて秋さんを見ると、びっくりした顔で頬を赤らめていた。    

ともだちにシェアしよう!