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幸せな時間✦side秋人✦1 ※
蓮がくれるキスも舐める舌も撫でる手も、……俺を見つめる瞳も何もかもが優しくて、心が震えるほど嬉しくて胸が痛い。
まさかこんな日がくるなんて、想像もしていなかった。
数時間前までは、絶望の淵に立っていたのに。
今はこうして裸で抱き合ってるなんて、こんなの頭が沸騰して当たり前だよな……?
蓮の与える刺激の何もかもが気持ち良すぎて、もう脳がとろけそうだ。
まるで全身が性感帯にでもなったみたいに、もう何をされてもどこにふれられても、気持ち良すぎて声が我慢できない。
男のあえぎ声なんて……そう思うのに、恥ずかしいのに止められない。
蓮が、声が嬉しい聞きたいと言ってくれて、俺のほうが泣きたくなるくらい……嬉しかった。
「はぁっ、あっ……」
俺の口をふさいでいた蓮の唇が、再び胸の突起に移動して吸い付いた。下の刺激と重なって、あまりの気持ちよさに俺は高い声を上げた。
「秋さん」
「……ん?」
「ちょっとだけ、ごめんね」
そう謝ると繋いでいた手をほどき、俺のその手を蓮の背中にふれさせ、優しい瞳で微笑んだ。
え……なに。今のは……なんだ?
もしかして……バレてる?
俺がずっと蓮にふれていないと不安になること、気づいてる……?
バレてないと思っていた。死ぬほど恥ずかしい。一気に顔に熱が集まった。
こんなの絶対にウザくて重いのに……。それでも蓮は優しく笑って受け入れてくれるのか……。
どこまでも優しい蓮に、胸がジンとなった。
本当に大好きだよ……俺の蓮。絶対に誰にも渡したくない。
蓮は空いた手で胸の突起をつまむと、反対の乳首を口に含んだ。
「あぁっっ、あっ」
両方の乳首と下への同時の刺激に、一気に射精感が押し寄せた。
「あっっ、バカバカッ、出るってっ、やめろってっ」
「いいよ、出して」
「出たら終わっちゃうじゃんっ……」
思わず口から出て、俺は何を言ってるのかとハッとした。
これは抜き合いじゃない。出したら終わってしまった、あの日とは違うのに。
蓮が胸から顔を上げて、不思議そうに俺を見た。
「なんで? 出ても終わらないよ? ……ていうか、終わらせてあげられない」
熱のこもった瞳で俺を見つめ、唇にそっとキスをするとまた愛撫を再開した。
「……ぁっ、アッ、んんっっ」
バカなことを言ってしまった。そうだ、もう出しても終わらないんだ。俺たちはもう……恋人なんだ。
そう思ったら安心して胸がカッと熱くなって、一気に限界が来た。
「……アッ、んんっっ、もうイクッ……」
「うん、イッて」
「んぁっ、ああぁっっ……」
身体が痙攣したように震えて、蓮の手の中で張り詰めていたものが弾けた。頭が真っ白になった。
たぶん頭が沸騰しすぎていたからだと思う。俺はしばし頭がぶっ飛んだ。
気がついたときには、蓮がティッシュで俺の処理をしていて慌てて起き上がった。
「あ、ご、ごめん蓮」
「え? なんで謝るの?」
きょとんとした顔をしながらティッシュを捨てると、ぎゅっと俺を抱きしめてベッドに押し倒した。
「秋さん、めちゃくちゃ可愛かった」
「……か……可愛いって言うな……っ。声出るから……やめろっつったじゃん……」
「……ええ? 可愛いって言われるの好きって言ったの、秋さんだよ?」
「……可愛いの意味が……違うだろっ。声……恥ずいんだよ……」
蓮が顔を上げて、とろけるような顔で俺を見下ろす。
「秋さん、顔真っ赤で可愛い」
「……お……お前のが……絶対赤いからなっ」
「うん。俺のは通常運転だからね」
真っ赤な顔でチュッチュッと唇にキスをして、頭を撫でる蓮が……甘すぎる。まるで砂糖のように甘い。
ものすごく恥ずかしいのに、この甘やかされてる感じが……無性に好きだと思った。
なんだそれ。どうした、俺。本当に蓮の前だとおかしくなる。
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