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幸せな時間✦side秋人✦3 ※

「……あっ、……はぁっ」  奥まで入った指を、蓮が優しくほぐすように動かす。  時々気持ちいい感じと、少しだけ異物感。  蓮の優しさが伝わるような指の動きが愛おしい。 「蓮……大丈夫だからもっと指増やせよ……。早くもっと広げて……。早く……お前がほしい……」 「……あ、秋さん……。あんまり可愛いこと言わないで」  まだ赤くなれたんだと思うほど顔を赤く染めて、そっと指を増やして一生懸命にひたすら優しくほぐす。  そんな蓮に、胸がぎゅっと締めつけられた。 「あっ、……ぁっ、……んっ」    もう息が弾んできた。かなり長い時間、蓮はずっとほぐしてくれていて、もう俺は待ちきれなかった。 「……れん……もういいから。早く、入れろよ……」 「……ん、もうちょっと」 「は? もういいって……もう待てねぇよ……あっ、……はっ、ああぁっっ!」  ……なんだ今の、やばいくらい気持ちがよくて腰が浮いた。 「ああっ、んっ、……ちょっ、まって、ああぁっ……」  俺の反応に、蓮が嬉しそうに破顔した。   「よかった。やっといい反応になった」 「……やっと……って?」 「たぶんここが前立腺ってとこは見つけたんだけど、秋さんの反応があまりなかったから。ほぐしながら少しずつ刺激してたんだ」  前立腺……。あ、知ってる。そういえば見たなそんな言葉……と思い出す。 「そんなのいいから……あっ、……早く広げて入れろよ……バカ、……んっ」 「ダメだよ。それじゃ秋さんが痛いでしょ。秋さんが痛いのは絶対いやだ。俺は一緒に気持ちよくなりたいから」  なんでそんな、俺優先なの……。  初めてってもっと余裕ねぇだろ普通……。  蓮のそこはもうすでにガチガチだ。どれだけ自分を抑え込んでるんだよ、と呆れた。  もう好きがあふれすぎて、目頭が熱くなった。 「じゃあ、もういいだろ……? 早く……入れろ」 「あ、でももう少し慣らしたほうが……」 「……しつこい。もう待てねぇっつってんじゃん……っ」  蓮をひっぺがし、ゴムを取って手渡そうとしてふと気づいた。 「お前、ゴム付けれる? 付けてやろうか?」  そう言うと、ムッとした顔で俺の手からゴムを引ったくる。 「つ、付けれるよっ」 「そ?」  袋を破き中身を出して、ゴムの裏表をジッと眺めている。 「外側がクルクル丸まってる方が――――」 「分かるからっ。黙ってて」 「……はーい」  笑いをこらえながら見守った。  赤い顔で必死でゴムをセットする蓮は、今日一番の可愛さ全開だった。 「秋さん……いい?」 「……ん」  もうすぐ蓮と繋がれる……。  心臓が口から飛び出そうなくらいドキドキしていた。  蓮が唇に優しくキスをして微笑んだあと、「後ろ、向いて」と俺の身体をうつ伏せにしようとして、焦って止めた。 「……は? なんで……後ろ?」 「あ、初めては後ろからのほうが楽みたいだから」  確かに……俺も見た、その情報。でも。 「……後ろからは……絶対やだ」 「でも、前からだとキツいかも……」 「なんで……。お前と初めて繋がるのに……顔見えねえとか……絶対やだ……」  喉の奥が熱くなって涙がにじんできた。  ダメだ……今日の俺、涙腺がゆるんでる。蓮のことになるとおかしくなる。 「え、ごめん秋さんっ、泣かないでっ」  びっくりした顔で蓮が抱きしめてくる。 「……泣いて……ねぇよ」  認めるのが恥ずかしくて、バレバレの嘘をついた。 「じゃあ……前からでいい?」 「……前からがいい」 「うん。俺も本当は秋さんの顔、見ながらがよかったから……嬉しい」 「……うん」  お前が好きすぎてごめん。面倒臭くてごめんな……。  心の中で謝った。

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