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幸せな時間✦side秋人✦4 ※

「俺……本当にもう、……お前を離してあげれねぇかも……」 「それは俺のセリフだよ? もう絶対に、秋さんを離したくない」  蓮が、背中にまわしてる俺の手を取りぎゅっと握ると、繋いだ手にキスをした。 「もう、ずっと離さない」  胸に熱いものが込み上げてきて、思わず繋いだ手に力がこもった。  その手を蓮はチラッと見てから、優しい瞳で俺を見つめた。 「もう、ずっとさわっててね」  あ……やっぱりバレてるんだな、と悟った。  ずっとふれてないと不安なんて……自分でも意味不明で恥ずかしい。  すれ違ってる期間にすっかり弱くなった自分が、本当に情けない。  でも、それでも蓮は優しく受け止めてくれる。本当に……俺は幸せ者だ。   「……マジで、ずっとさわってるからな?」 「うん、もちろん」 「トイレも一緒に行くぞ?」 「うん、いいよ」 「……ばぁか」  二人で吹き出してクスクス笑った。 「……秋さん」 「ん?」 「……俺……心臓がもう破裂しそう……」 「……うん。俺もだよ」  蓮を引き寄せてぎゅっと抱きしめた。  二人の心臓の音が、うるさいくらいに胸に響き合う。  また二人で「同じだ」と笑った。   「……秋さんが……ほしい」 「俺も……蓮がほしい」  顔を上げた蓮が、いまにも泣きそうな顔で俺に口づけをした。   「……入れるね」 「……ん」     ローションで準備した蓮のものが、ゆっくりと俺の中へと入ってくる。  感情が高ぶりすぎて、目頭が熱い。  ぶるっと身体が震え、ぎゅっと蓮にしがみついた。   「……ぁ、……ぁ」 「……秋さん、……も……少し、ゆるめれる……?」 「…………どう……やって……? ……ぁっ……」 「……きつい……傷つけちゃいそう……」 「大丈夫……だから。もっと……こいって、蓮……」    何度大丈夫と言っても、蓮はなかなか入ってこない。  ゆるめる……どうやればいいんだろう。分からない。  早く繋がりたい。そればかり考えて焦る気持ちが出てきたとき、ふいに唇がふさがれた。 「……ん、……んっ……」  舌を絡め取られる深いキスに、俺はまたすぐに夢中になる。  背中にふれているほうの手も、たぐり寄せるようにして握られた。握られた両手が嬉しくて胸がこそばゆい……。  キスで脳がとろけそうになったとき、またゆっくりと蓮が中へと入ってきた。 「……あっ、……ぁ」 「秋さん、痛く……ない?」 「ん、うん、だい……じょぶ、……ぁっ」  蓮が中に入ってくるときの、少しだけ痛いような圧迫感が、俺には泣きたくなるくらい幸せで……嬉しかった。

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