70 / 173
幸せな時間✦side秋人✦4 ※
「俺……本当にもう、……お前を離してあげれねぇかも……」
「それは俺のセリフだよ? もう絶対に、秋さんを離したくない」
蓮が、背中にまわしてる俺の手を取りぎゅっと握ると、繋いだ手にキスをした。
「もう、ずっと離さない」
胸に熱いものが込み上げてきて、思わず繋いだ手に力がこもった。
その手を蓮はチラッと見てから、優しい瞳で俺を見つめた。
「もう、ずっとさわっててね」
あ……やっぱりバレてるんだな、と悟った。
ずっとふれてないと不安なんて……自分でも意味不明で恥ずかしい。
すれ違ってる期間にすっかり弱くなった自分が、本当に情けない。
でも、それでも蓮は優しく受け止めてくれる。本当に……俺は幸せ者だ。
「……マジで、ずっとさわってるからな?」
「うん、もちろん」
「トイレも一緒に行くぞ?」
「うん、いいよ」
「……ばぁか」
二人で吹き出してクスクス笑った。
「……秋さん」
「ん?」
「……俺……心臓がもう破裂しそう……」
「……うん。俺もだよ」
蓮を引き寄せてぎゅっと抱きしめた。
二人の心臓の音が、うるさいくらいに胸に響き合う。
また二人で「同じだ」と笑った。
「……秋さんが……ほしい」
「俺も……蓮がほしい」
顔を上げた蓮が、いまにも泣きそうな顔で俺に口づけをした。
「……入れるね」
「……ん」
ローションで準備した蓮のものが、ゆっくりと俺の中へと入ってくる。
感情が高ぶりすぎて、目頭が熱い。
ぶるっと身体が震え、ぎゅっと蓮にしがみついた。
「……ぁ、……ぁ」
「……秋さん、……も……少し、ゆるめれる……?」
「…………どう……やって……? ……ぁっ……」
「……きつい……傷つけちゃいそう……」
「大丈夫……だから。もっと……こいって、蓮……」
何度大丈夫と言っても、蓮はなかなか入ってこない。
ゆるめる……どうやればいいんだろう。分からない。
早く繋がりたい。そればかり考えて焦る気持ちが出てきたとき、ふいに唇がふさがれた。
「……ん、……んっ……」
舌を絡め取られる深いキスに、俺はまたすぐに夢中になる。
背中にふれているほうの手も、たぐり寄せるようにして握られた。握られた両手が嬉しくて胸がこそばゆい……。
キスで脳がとろけそうになったとき、またゆっくりと蓮が中へと入ってきた。
「……あっ、……ぁ」
「秋さん、痛く……ない?」
「ん、うん、だい……じょぶ、……ぁっ」
蓮が中に入ってくるときの、少しだけ痛いような圧迫感が、俺には泣きたくなるくらい幸せで……嬉しかった。
ともだちにシェアしよう!