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最終話 LIVE〜みんなの前で✦side秋人✦3

「あ……でもあの、本当に俺と秋さんは――――」 「もういいよ、蓮」 「え……」  青くなって固まる蓮の手を、ぎゅっと握ってリュウジを見た。  はっきりと口にしなくても伝わる答え。  繋いだ蓮の手が震えたのが分かった。   「……黙ってて……くれるか? リュウジ」 「当たり前だろう? 京も大丈夫だよ。ほら」  と言って、リュウジがスマホの画面を見せてくる。  そこには京からのメッセージ。 『蓮くんに、秋人を幸せにしてやってって伝えてねー』  なんで……反対しねぇの。  男同士って、そんなに簡単に受け入れてもらえるもんなのか……?  蓮を見ると、まだ青い顔で固まっている。 「秋さん……」  繋いだ手がまだ震えていた。  ごめんな蓮。俺がうかつだったから。   「もしバレたら……グループ……駄目になるかもしれねぇよ……?」 「んー。もしバレたときにはさ。知ってましたけど? 何が悪いんですか? って言ってやるよ。お前の人生なんだから自由でいいじゃん。それ犠牲にしてまで、俺は活動続けたくねぇわ」  そう言って笑ってくれるリュウジ。  まさかメンバーにバレて、反対もされないなんて思いもしなかった。  信じられないほど嬉しい。喜びが電流のように全身に流れた。 「ありがと……リュウジ……」 「ん。まあさ。俺と京は前回会ったときとの違いも分かっちゃったし、だからだと思うよ。他の奴らは別人秋人に騒いでるだけで、想像もしてないと思うぜ?」 「……俺、蓮の前だとそんな別人?」 「うん、別人だね」 「…………マジか……」  まったく自覚がなくて怖くなった。  榊さんは、そのままベッタリでいいと言っていたのに……。   「だって今の秋人、どう見たってしっかり者のリーダーには見えねぇって」 「…………どう、見えんの?」 「え、うーん。今まで思ったこともなかったけどなんか……可愛いな。いや、見た感想な。もうそれだけで別人。あとはもうデレデレっつうか、トロトロっつうか。幸せがあふれてる感じ?」  聞かなきゃよかったと後悔した。  リュウジに可愛いなんて言われる日が来るなんて……。  やっぱり蓮に言われるのとは全然違う。ちっとも嬉しくない……。  そして、なに? デレデレとかトロトロとか……そんな恥ずかしい状態なの、俺……。   「あの…………」  蓮が少し落ち着いたようで、恐る恐るという風に口を開いた。 「……みなさんにご迷惑おかけしないように、本当に絶対に気をつけます。その……反対しないでくださって、ありがとうございます」  蓮は、まるで身体を折るようにして深く頭を下げた。 「いやいや、頭上げて蓮くん」  そう言われてそろそろと頭を上げた蓮は、まだ少し青ざめてこわばった顔をしている。 「蓮…………」 「あのさ、蓮くん。あんま気にしなくていいよ? まあ、秋人はちょっと抑えたほうがいいけどな」 「…………ごめん」  俺が謝ると、リュウジはおかしそうに笑った。   「俺も今は公認の彼女だけど、当時はすげぇ騒がれたし人のこと言えねぇしさ。同じじゃん? なんも変わんねぇよ、俺たちと」  俺たちと何も変わらない。  リュウジのその言葉が、何よりも嬉しい……。 「…………ありがとう……ございます……」 「リュウジ……ありがとな……」  蓮の顔が、やっと安堵したようにゆるんだ。  目を合わせて微笑み合った。   「番宣も見たけどさ。撮影中もイチャイチャしてたんだろ?」 「……まぁ。最初から……そんな距離感だったから、そのままのほうがバレないって、榊さんが……」 「あ、なに? 榊さん知ってんだ? じゃあいいんじゃね? 本当に今まで通りでさ。ま、長い付き合いのメンバーの前では、ほどほどにってことで」 「……本当にそれで、大丈夫なのかな」  今日一日でリュウジと京にバレたし、かなり不安。  そんな俺を見て、リュウジは笑う。    でも……本当は隠したくない。堂々としていたい。  この格好良い男は自分のものだって、みんなに自慢したい。  隠さなきゃいけない自分の仕事が、今はもう本当につらい。  もし俺がこの仕事をしていなかったら、どうしていただろう。  この仕事のせいで、その反動で堂々としたい思いが強いんだろうか。  だからみんなの前で、蓮が大好きだって叫びたいのかな……。     

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