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続きのお正月〜キスマ編✦side秋人✦3 ※

「家にいるときだけでも、休みの日だけでもいいからつけようよ」 「外し忘れたら困るじゃん……」 「大丈夫だよ。ちゃんと榊さんに監視してもらうから」 「榊さんじゃない日もあるし……」  俺たちグループは八人もいるからサブマネージャーもいる。サブマネの日に外し忘れたらアウトだ。  指輪はほしいけど、危険なことはしたくない……。 「じゃあ……休みの日でも首から下げるのは? それならたまに忘れても大丈夫でしょ?」 「…………」 「その代わりさ。いつでもつけられるペアウォッチも買おうよ」 「ペアウォッチ……」 「一緒に買いに行って、おそろい買っちゃったーってSNSに上げちゃうのはどう? だってニコイチだもん、いいよねそれくらい」 「……うん、いいかも。え、マジで買うの?」 「買おうよっ。ほしいっ。おそろいのペアウォッチ! もちろん指輪もっ」  顔を上げると、目をキラキラさせて蓮が俺を見つめた。  ネズミーシーの黒耳を思い出す。あのときもこんな感じだったな。本当に可愛すぎる、俺の蓮。 「……じゃあ買っちゃう?」 「うんっ。嬉しいっ、やった! ありがとう秋さん!」 「ははっ、うん。俺も嬉しい、ペアウォッチ。……指輪も」 「秋さん好きっ」 「うん、俺も……ん……」  頬にキスが降ってきた。 「大好き」 「……ん」  まぶたにキスが降る。  次から次へと、顔中にキスと「好き」が降ってくる。 「愛してる」 「……ん、うん」 「世界一、好き」 「ふはっ、うん」 「昨日より、大好き」 「……ん、どした? 蓮?」 「明日はもっと、愛してる」 「……ん、……お、おーい、蓮、どした? 俺いま全然弱ってねぇぞ?」  突然の好き好き攻撃にタジタジになる。急にどうしたんだよ。すげぇ嬉しいけど、これめっちゃ恥ずいんだってば……。  もう顔が火照って仕方がない。 「これからは、いつでもすることにした。好き好き攻撃」 「へ? な、なんで? いいよ、弱ったときだけで」 「ウザい?」 「えっ。や、ウザくねぇよ。そりゃ……嬉しいけどさ」 「じゃあ、もういつでもやっていいよね?」 「ちょ、……ん……おい、今日お前……ほんとどうした?」  まだ顔中にチュッチュッとキスをしてくる蓮を止めて、問いかけた。 「もう、いろいろ我慢するのやめようと思って。俺、本当は毎日秋さんを甘やかしたいし、可愛がりたいから」 「いや……え……急になんで……ん……」  また顔中にキスが降ってくる。  いや待って。なにこれ、俺の知ってる蓮じゃない。  まるで役に入り込んでるときみたいな……。  そう思って蓮の瞳を見つめたが、間違いなく俺の大好きな優しい蓮で、もうわけがわからない。やばい、ときめきすぎて苦しい……。 「ま、ま、待てっ、蓮、ちょっと待てっ」 「うん?」 「こ、こういうのって、たまにやるからいいんじゃねぇの?」 「え……」 「毎日やったら、俺、ありがたみ減りそう」 「……そう……なの?」  グイグイ来てた蓮の勢いがやっと弱まった。  あ、いつもの蓮だ、とホッとする。 「グ……グイグイくる蓮は、その……カッコよすぎてやばいっていうか……。俺、心臓もたねぇわ……」  たぶん真っ赤になってるだろう顔を隠すように、蓮の胸に顔をうずめた。 「カッコよすぎてやばいんだ」  俺の言葉を繰り返してまた蓮がクスクス笑うから、文句を言おうと見上げてみると、蓮の顔も真っ赤だった。  俺の可愛いワンコの蓮だ。 「……あー……ホッとする」 「え?」 「いまの蓮が、ホッとする。グイグイもいいけど、いつもの蓮がやっぱ一番好きだ」 「そ、そっか」  俺は蓮のうなじを引き寄せて唇を合わせた。  チュッチュッとリップ音を鳴らしながら、優しいキスを交わした。   「……なぁ、俺らご馳走全然食ってねぇな」 「……ほんとだね」 「食おうぜ」 「うん、食べよう」 「……んぅ、……ん……」    そう言いながら、キスが終わらない。 「……ん……食うぞって」 「うんうん」 「……ふはっ、……もー。俺スイッチ入っちゃうってば」 「ん……どこ? スイッチ」 「え?」 「ここ?」  服の裾からスルッと入ってきた蓮の手が、胸の突起をつまんだ。   「んあっ、おい……っ、あっ、……んっ、ちょい……蓮、やめろって、ふはっ」  ふざけてるのかと思って笑っていたが、終わる気配がない。あれ?  裾をめくって直接口にふくまれたら、俺ももうたまらない。 「……んんっ、ぁ……っ、んっ……れん?」 「秋さん……俺スイッチ入っちゃった」 「えぇ? ふはっ、もー……あっ、ん……」 「ね、ベッド行こ?」  俺の膝下に腕を入れて抱きあげようとする蓮に、俺は静止をかけた。 「いい。ここでしよ」 「え、でも」 「だってベッド行っちゃったらご馳走食えねぇじゃん」 「え、ご馳走のため?」 「そ、ご馳走のため」  えぇ? と驚く蓮の唇をふさいで舌を絡ませながら、蓮の上にまたがった。 「えっと、待って、ローションが……」 「んなの、どっちかが出したやつでいいじゃん。どっちにする?」 「……え?」 「お前、出してもまたすぐできそ?」 「……は?」 「んー、いややっぱ俺の使わないんだから俺か。俺だな」 「ちょ、ちょっと、秋さん待って、え……もう酔ってる?」 「ふはっ、酔ってねぇよ」 「……酔ってないっていう人ほど酔ってるんだよ?」 「ぶはっ」  付き合う前の抜き合いを思い出す。あのときは酔ってるフリをするために、酔ってないと言い張ったっけ。 「本当に酔ってねぇって。まだ一缶も開けてねぇよ」 「えぇ、シラフなの? これで?」 「もー、どっちでもいいじゃん」  蓮の唇にチュッとキスをして、蓮のズボンのボタンを外した。ファスナーを下ろしパンツごとずり下げると、ちょっと硬くなった蓮のものが顔を出す。  俺は部屋着のスウェットを着ていたから、サッと簡単に下を脱いだ。  二人のゆるく立ち上がったものを擦り合わせると、面白いくらいに二本とも元気になった。 「ん……きもちぃ……」    ソファでこの体制。本当にあの台風の日を思い出す。 「蓮? なんで固まってんの?」 「だ……って、ソファだし、ローションないし、秋さんが……エロい」 「は? もーエロいっていまさらだろ? ほんと可愛いな俺の蓮は」  蓮が主導権をにぎって始めるときはいつも男らしくてカッコイイのに、俺が攻めると途端に可愛くなるから本当に参る。 「秋さんこそ、好き好き攻撃は恥ずかしがるのに……これはなんで平気なのかわかんない……」 「す……好き好き攻撃は特別なんだよ……っ」  えぇ? わかんない、と蓮が不思議がる。  俺だって、蓮がこれをいまさら恥ずかしがる理由がわからない。    

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