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#2「何考えてるの」 ④
雨宮のアパートに到着し、いつも通りすぐさま服を脱ぎ始める雨宮。いつもは家に着くとすぐにベッドになだれ込むのだが、今日は違った。
「…なあ、ヤる前にシャワー浴びねえ?」
「えっ何で?」
「いや何でって…、結構汗だくだよ」
「汗だくでも良いじゃん。僕泉くんの汗の匂い好きだし」
「マジかよ…」
「まあ良いよ。じゃあ一緒にお風呂入ろうよ」
「えっ、一緒に?」
「だって早くヤりたいんだもん」
狭くて古い浴室に男二人が入り込む。雨宮はシャワーから出た水に手を当てて、お湯になるのを待っている。
ふと、雨宮の左腕の傷跡が目に入ってきた。いつ見てもやはりショッキングな見た目だ。所謂、自傷行為でできた傷なのだろう…。
だが気にはなるものの、直接本人に傷について問いかける事は出来なかった。雨宮の誰にも打ち明けられない内面が傷となって滲み出ているようで、そこに触れる事はどんな立場の人間であろうと軽々しくやってはいけない事だろう、と思う。あまり上手くは言えないが…。
なんて事を考えている俺の身体に、雨宮がシャワーのお湯を当ててきた。
「泉くん、洗ってあげるよ」
そう言って俺の性器に手を伸ばす雨宮。
「いいって! 自分でやるから!」
「いいからいいから」
雨宮は俺の前にしゃがみ、性器を扱く。そしてゆっくりと咥え、舌で舐め始めた。
「洗うってそういうことかよ…」
出しっ放しのシャワーに打たれながらフェラをする雨宮。いつもとは違うシチュエーションだが、いつもよりも短めで切り上げた。
「まだ出しちゃダメだからね」
ボディーソープを手のひらに出し、俺の身体へ擦り付けて洗い始めた。
「泉くんも僕の身体洗ってくれる?」
言われるがままに俺もボディーソープを出し、雨宮の身体を洗い始める。
首、肩、胸板、脇と、上から順に洗っていく雨宮に習い、泡を立てながら相手の身体を洗っていく。
先程まで咥えていた性器を、いやらしい手つきで擦り始める雨宮。俺は雨宮の後ろへと手を伸ばし、尻の割れ目に指を沿わせてアナルを刺激する。
「泉くんそれ良い…。もっといじって、お尻綺麗にして」
穴に指を入れる。ボディーソープが潤滑油となって、抜き差しが安易に出来る。
「お前これ、大丈夫か? 石鹸で中洗っちゃって…」
「うう…ちょっと痛いかも。でも続けて」
指を二本に増やして穴に入れる。抜き出しする動作を早く、激しくしていく。
「早くしないで…すぐイっちゃう…」
雨宮の言うことをお構い無しにアナルを刺激し続ける。雨宮の腰がガクガクと疼き始める。
雨宮は俺の身体を洗う手を止め、腕を背中に回して抱き締め、身体を密着させる。
「い、泉く、んんっ、ああっ、もう駄目、あっ」
雨宮は腰を動かし、俺の身体に性器を押し付ける。
「出るっ! 出ちゃう、ああっ、イっちゃう、ああっ…!」
雨宮の抱きしめる力が強くなったと同時に、指の動きを止めた。
「…えっ、なんで止めちゃうの…?」
「…まだヤる前だろーが。出させてたまるか」
髪を乾かす時間すら惜しむように、風呂から出るなりすぐさまベッドへなだれ込む。
ベッドの上に散乱しているティッシュのゴミや、脱ぎっぱなしの衣服などを退かしている最中に、雨宮がこう言った。
「ねえ泉くん…、僕もフェラされてみたいんだけど…」
「…は?」
「だ、だからフェラ…。僕のもしゃぶってほしいな…」
「はあ…!? 無理に決まってんだろ、チンコ舐めるとか…」
「君いつも僕にはさせてるじゃん」
「お、お前が勝手にやってるんだろ…!」
「お願い、どうしてもされてみたいの。一度だけで良いから…」
雨宮の呼吸が小さく乱れる。目が赤く濡れ始める。自分の性器に目をやるように俯き、そのまま黙りこくってしまった。
「…わかったよ、ちょっとだけな…」
「ほんとに?」
雨宮はすぐさまパッと顔を上げ、高揚した笑みを浮かべる。そして俺のことを突き倒してベッドに横たわらせると、首あたりに跨り、己の性器を顔に近づけた。
「お前…っ! いきなり何すんだよ…!」
俺の言葉を無視して、亀頭を唇に少し触れさせる。
ふーっ、ふーっ、と鼻息を荒くさせ、理性などとっくに吹き飛んだかのように思える。何を言っても聞きそうにない。
仕方なく、恐る恐る亀頭の先を舌で舐めてみる。いくら男とセックスしているとはいえ、男性器を口にするのはやはり抵抗があった。雨宮がいつも俺にやっているように、全体を舐め回したり、口に含んでしゃぶり尽くす事が出来ない。
「ね、ねえもっと舐めて…裏スジとか…タマも…」
亀頭の先からカウパーが溢れ始める。それすらも舐めるのを躊躇うというのに、あまつさえ嬉々として精液を口に含む雨宮は随分慣れているというか、相当変態というか…。
小さく舌を動かすことしかできない俺に雨宮は見兼ねたのか、
「もう、下手くそだなあ」
そう言って俺の頭を両手で掴み、勢いよく口へ性器を突っ込んだ。
「ングっ! ゴフッ…!」
性器が喉を容赦無く突く。咽せようにも口が塞がり、咳すらまともに出来ず苦しむ俺をお構い無しに腰を振る雨宮。
「はあ、はあ、泉くんの口、めちゃくちゃ気持ちいい…」
雨宮はそのまま俺の口に挿れたまま射精をした。濃い精液が喉に直接流れ込み、イガイガとした嫌な痛みを感じた。加爾基のような臭いが鼻を抜け、思わず涙が出る。
雨宮は、一発出したというのにずっと口に挿入したまま、腰を痙攣させている。
「はあ、はあ…っ 泉くん、苦しそうにしてる顔もすっごいエッチだね…」
人が苦しむ姿を愉しんでいるかのような口振りに、思わず怒りがこみ上げる。
思い切り起き上がって雨宮を突き飛ばし、雨宮にされたように俺も口の中へ無理矢理性器をねじ込み、髪の毛を鷲掴みし、腰を思い切り振って見せた。
「んっ、んっ、ぐうっ!」
「お前なあ…、人が嫌がる事敢えてやるなよな…。セックスする相手にいちいちヘイトぶつけてどういうつもりだ?」
喉に亀頭がゴリゴリと当たる感覚。雨宮と同じく、口の中で直接射精する。
「まだ飲み込むなよ…」
口内に性器を執拗に擦り付け、涎と精液でドロドロになった性器を、雨宮のアナルへそのまま思いっきり突っ込んだ。
「あっ!! 痛い、痛いよ泉くん!」
まだほぐしても潤滑油を塗ってもいないアナルへ、無理矢理性器を捩じ込む。
「あっ、ああっ、あんっ、痛い、痛い、痛いよお、泉くん…」
「うるせえ、黙って掘られてろよ…」
滑りが悪いため、アナルから性器を引き抜き再び雨宮にしゃぶらせる。涎に塗れた性器を再度アナルへねじ込み、苛立ちに身を任せ一心不乱に腰を振る。その間も雨宮は悲痛な喘ぎ声をあげている。
外に射精し、出た精液をアナルに塗りたくり、休む暇なく再度挿入する。
一度射精をした事で怒りが少しだけ沈まる。無理な挿入に苦しそうに喘いでいる雨宮に向かってこう問いかけた。
「お前さ… 事あるごとに人を怒らせて、何が目的なわけ…?」
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