17 / 228
レオに対する嫉妬 2
「ふにゃぁっ?!」
急なことにビックリしたのか、渚が変な声をあげる。
だが怒りで冷静さを欠いている俺は、声が聞こえても気を遣う余裕はなかった。
「怖いなら俺が手も握ってやるし、抱きしめててやる」
「へ? い、いや、びっくりしただけだから……」
戸惑いつつ腕の中で縮こまる渚をチラリと見て、俺は、未だ黙ったまま笑顔でこちらを見つめるレオを睨みつけた。
「まだ俺は、お前を信用したわけじゃない。どうすることもできないから、とりあえず案内してもらおうと思ってるだけだ」
「そうだね。俺と君たちは初対面だし仕方ないのかも。でも、スザクみたいに敵対心を向けてきた異世界人は初めてかな」
レオは張り付けたような笑顔で俺の言葉にくすくすと笑った。
その笑顔が信用ならないんだということを、本人は分かっているのだろうか。
どのみち、大事な渚をこんな奴に任せるのはあまりにも不安が大きすぎる。
嫉妬も……なくはないが……。
「荒玖っ! そういう言い方はよくないぞ! レオは好意的に俺たちを助けようとしてくれてるっ」
「どうだろうな。もしかするとこのままガイドセンターなんてところに行かずに、危険な場所に連れていかれる可能性もある」
「…………」
俺のそんな言い方にレオは特に何も言い返さなかった。
代わりに懐から長方形の小さな紙を取り出すと、それを俺の方に差し出してくる。
「ごめんね。これを渡す方が先だったのかもしれない」
俺は差し出されたその紙をしばらく見つめてから、恐る恐る手を伸ばして紙を受け取り、書かれている文字に視線を落とした。
ともだちにシェアしよう!