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LP魔法と概念

「魔法の使い方と元素魔法とやらの使い方をわかりやすく教えてくれ」 「荒玖……お前、言ってること、わかってるのか? まだここに来たてでこの世界のことも理解してないやつが魔物と戦うのは危険すぎるっ」  冬季は俺の言葉に緊急事態にも関わらず、そんな呑気な言い分を返してきた。 「でも、一人でも助っ人が必要なんだろ? なら、俺と渚が力を貸す。その代わり、ギルドの依頼として報酬を出してほしい」 「……ちゃっかりしてやがるな。わかった。でも、LPを使うときは気をつけてくれ。0になるまで使うのは絶対にダメだ。いいな? 他にも説明したいことはあるけど、とりあえず後回しにする。魔法の使い方を教えるからついて来てくれ」 「わかった」  俺と渚は部屋を出ていく冬季の後を追う。  そんな俺達を不安そうにレオとティオが見つめていた。  冬季は先程リーアが降り立った広場に移動すると説明を始めた。 「魔法を使うときは、体の奥から魔力を引き出すイメージで使うことになる。慣れないうちは、何かの言葉を使ってもいい」 「呪文みたいなものですか?」  冬季の説明に渚が素早く質問を投げかける。 「そうだな。慣れたら必要なくなる。とりあえず、やってみてくれ。武器の種類とかはイメージでいい。あまり時間がないからな」  とりあえず俺は目を閉じ深く息を吸って吐き出すと、前の世界で使っていた呪文を唱えた。 「エルシオ」  ふわりと体から何かが溢れて抜けていく感覚。  その感覚に何故か懐かしさを感じた。 (あれ……この感じ……空海島で魔法を使うときと同じ……)  その感覚を辿って武器を生成する。  目を開けて手元に視線を落とすと馴染みのある形の剣があった。  空海島にいたときに使っていたものを想像したので形もそのままだ。  十字架からまっすぐ伸びる剣先が太陽の光に鈍く光る。  俺はその剣の感触を指先で確かめた。 「アルシム」  隣で渚も馴染みの短剣を生成する。  淡い燐光が辺りに煌めきに、細い指先が柄を握ると弾けるように光が霧散した。  渚は他にも色々な武器を扱えるみたいだが、短剣が一番使いやすいのか、戦闘時に使用するのはいつもこれだ。

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