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第3話
「誰からやる?」
「じゃあ、あたし―!」
リアが笑いながら言う。割と長めの袖をめくって縛ってからオレを見る。
「はだしの方が良いの?」
「うん。気分出るから」
「分かったー」
クスクス笑って、靴を脱いで、はだしで砂浜を踏んだリアは、サラサラで気持ちいいね、と笑う。
ルカに布を借りて、オレが軽く縛ってリアの目隠しをする。
――――……リアって、綺麗だよなぁ。
……細い腕と、目を隠した、顔半分。華奢で、ちょっとドキッとする。
「ね、ソラ、これで回るの?」
「あ、うん、そう。10回、回していい?」
「うん」
ドキドキを吹き飛ばして、リアをクルクル回らせながら数える。10を数えてから、手を離した。
「うわーうそ、全然方向、分かんないー」
きゃー、とリアが笑い出す。
「リア、全然違うって、後ろ後ろ」
「右だよ、リア」
「行き過ぎ、左左」
「全然分かんないよ、一人ずつ言ってよう!」
ゴウ、キース、ルカの声に、リアが笑いながら文句を言ってる。
めちゃくちゃ皆で、ぎゃあぎゃあ騒いだ結果、やっとのことでスイカの前にたどり着いたリアは、「そこでふりおろせ」というルカの声に応じて、力を込めて、棒を振り下ろした。
が。
カツン、みたいな変な音がしただけで、全然かけらもヒビも入らず。
「割れた?」
楽し気に言いながら目隠しを外したリアは、元気なスイカを見て、「えー? 当たったのにー」と、声を上げた。
皆、笑いながら、「力入れないと、このスイカ、割れねえな」と言ってる。
「なんか、盛り上がるな、これ」
ルカがクスクス笑ってオレを見る。
「でしょー? 大人気の行事だからねー」
「大人気なのか?」
クスクス笑うルカに、んー、と考えて、うん、多分、と笑う。
よく考えると、最後にやったのは、小学生だったかも。
大人になってからはやってないなあ。
もっとやればよかった。楽しい。
「じゃあ次、オレね」
キースが思ったよりノリノリで名乗り出た。
リアが持っていた布で、キースに目隠しをしている。
オレが回してやるよ、とゴウが言って、めちゃくちゃグルグルと、キースを回した。
回しすぎだよーと、リアが笑って、ルカも楽しそう。
――――……なんか。この皆とだから、余計に楽しいのかもしれない。
「キース、こっちー」
スイカの真後ろから、オレが声を出すと、「こっち?」とキースが近づいてくる。
「そうそう、まっすぐーって、そっち右だよー」
「もっとひだりだ、キース」
オレとルカの声に合わせて良い感じで進んできたキース。
「もうちょっと下がってからがいいかも?」
「いや、下がりすぎだろ、あと少し、前」
リアとゴウにも言われて、「ここらへん?」と立ち止まった。
「いーよー」
オレはそう言って、皆も口々にオッケーを出した。
まっすぐ、振り下ろしたのだけれど。
踏み込み過ぎたのか、スイカを通りこした砂の上に、がつ、と打ち込んだ。
「あー。外れたな……」
言いながら、キースが目隠しを外して、自分が撃ち込んだ所を見てる。
「踏み込み過ぎたかな」
そう言ったキースに、ルカが笑う。
「ただ振り下ろせば当たったのにな」
「癖で、足が出たなあ……」
苦笑いのキース。
「次誰がやる?」
「ルカは? やんないの?」
「んー。……オレ多分、目隠ししても、何となく分かる」
「え、そうなの? 嘘でしょ?」
オレが咄嗟に答えた言葉に、ルカは、苦笑い。
「感覚的に、そこにあるっていうのが、多分、分かっちまうけど。やって良いか?」
「……絶対やだ」
特殊能力者めー。
なんなの、その能力。意味が分からん。
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