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妙な胸騒ぎ

「櫂さん、急ぎの話しってなんですか?」 「雄士さんが当時の新聞記事を図書館で調べてきてくれたんだ」 櫂さんが彼にA4サイズの茶封筒を渡した。 「見てもいいですか?」 「もちろん」 封筒の中には新聞記事のコピーが入っていた。 事件が起きた日は、偶然にも世間を震撼とさせた連続通り魔事件の犯人が逮捕された日で、目を皿のようにして探して、下のほうに小さな記事をやっと見つけた。 「橋本という名字も多いから、まさか、そんな訳ない。雄士さんもそう思ったみたいだけど、そのまさかかも知れない。斎藤さんと吉村さんに、加害者とされている橋本千賀を大至急、調べてもらったほうがいいと思ったんだ」 「だから急ぎだったんですね」 「そうだよ。もしかしてお邪魔だった?」 「いえ、大丈夫です。俺が暴走する直前で止めてもらって感謝してます」 「ん?なんのこと?」 「いえ、なんでもないです。独り言です」 くすりと笑うと彼は再び新聞記事に目を落とした。

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