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新しい生活のはじまり
「櫂さんのカフェを手伝っていたとき毎日のように来店してくれた常連の初老のご夫婦がいたんです。結お姉さん、ふたりのことを知ってますか?」
ー知ってるも何も高校の恩師よー
「え?そうなんですか?」
驚いて声が裏返ってしまった。
ー四季くんと話しをしてると楽しいー
結お姉さんが電話の向こうでクスクスと笑っていた。
ー名前は花先生よ。草へんに化けるで花ー
「へぇ~~珍しい名字ですね」
ー名字は可愛らしいんだけど、めちゃくちゃ怖くてすごく厳しい先生だったのよ。今はだいぶ丸くなったけどね。 もしかして四季くん、花先生に会いたいの?ー
「来店するたびにお土産を頂いてて、結婚祝いだってお祝いまで頂いてしまって、お返しをしなきゃそう思っていたんです」
ーそうだったんだ。ごめんね四季くん。紬が起きたみたいだからあとで連絡するねー
結お姉さんと話し終わったときに、ちょうど彼が戻ってきた。
「あの和真さん、結お姉さんから電話が来て」
「盗み聞きするつもりはなかったんだけど、姉さんの声デカイから聞こえていたよ。今度の休みに一緒に行こう」
「うん」
彼にスマホ渡すと、代わりに円花をそっと渡された。
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