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新しい生活のはじまり
遊び疲れたのかな?彼に歯を磨いてもらっているうちに心春は眠ってしまった。
「一太くんたちに感謝だね」
心春を起こさないように抱き上げるとベットに運び、そっと寝せてくれた。
円花はというと、お目目ぱっちり。ぱたぱたと手足をバタつかせ、機嫌よくニコニコと笑っていた。
「もし何かあればすぐに電話を掛けて欲しい。俺が仕事中でも遠慮しなくていいから」
「ヤスさんに何か言われたの?」
「ヤスさんじゃなくて、卯月さんに」
嫌な予感がした。
「無戸籍児の問題が大きく取り上げられるようになったのはごく最近のことだ。保護された2歳くらいの男の子の出生届は出されていなかった。父方の親族に引き取られたみたいだけど、甲崎さんの調べでは10歳の時に自宅が放火され養父母ともに亡くなっている。養父母の遺体は焼け跡から見付かったけど、二十二年過ぎた今も男の子の遺体は見付かっていない」
「それってもしかして、生きているかも知れないってことだよね?」
「母親を奪った母さんに対する憎悪は計り知れない。母さんが亡くなり憎悪の対象が俺になった。橋本さんを隠れ蓑に、復讐する機会を虎視眈々と狙っていたんじゃないかって。男の子は成長し復讐の鬼と化した。何をしでかすか分からない。非常に危険だって」
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