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青空さんとの出会い

それから十分後。レジ袋をぶら下げたやせ形の長身の男性が姿を現した。 「メロンパンのキッチンカーが入り口前にあったんです。柚原さん橘さん見てください。焼き立てサクサク。七個で千円。大きくて旨そうです」 「青空さんは甘いものには目がありませんからね」 十月も半分過ぎたというのに、その男性はタンクトップ一枚だった。しかも、髑髏の刺青みたいなのが全身に彫られてあった。 呆気に取られていたら男性と目が合った。 「食べる?」 白い紙袋を渡された。 「あったかい。それに美味しそうな匂いがする。娘と半分こしてもいいですか?」 「いいよ。きみにあげたんだから、きみの好きにすればいい」 「彼は青空と書いて、そらと呼びます。八月までの期間限定で本部からお借りしていたんですが」 「福島、食べ物も果物も水も空気も旨い。姐さんもみんなも優しい。居心地がいい。でも地震が多いのがなぁ」 「それは仕方がないだろう。彼はいま、菱沼金融で用心棒をしている。青空、この子は朝宮四季。樋口結の義理の弟だ」 「結の弟?どうりで似てるわけだ。青空だ。宜しく」 青空という名前の男性がニッコリと微笑んでくれた。顔も髑髏の刺青もめちゃめちゃ怖いけど、根は優しいひとなのかも知れない。人は見た目で決めちゃダメっていうし。 「青空さん、朝宮四季です。宜しくお願いします」 ぺこりと頭を下げた。

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