43 / 431
青空さんとの出会い
「和真さんあのね、今日ね、卯月さんに菱沼金融に連れていってもらったんだ」
「菱沼金融は、サラ金とか闇金とかそういう類いの金融会社じゃない。健全な貸金業者だから安心していいよ」
「うん。あとね、青空さんっていうひとが僕の弾よけになってくれるって」
「青空?」
彼がむっつりした表情を浮かべた。
「男かって聞くだけ無駄だな。ここには男しかいないもんな」
「あ、でも、青空さんって奥さんがいるみたいだよ。事情があって一緒に暮らしていないって話していた。青空さん、全身に髑髏の刺青をしていて見た目はかなり怖いんだけど、甘いものに目がないみたい。蜂谷さんと一緒にいると漫才をしているみたいで、見ていると面白いんだ」
「きみの話しを聞いて誰だかやっと分かったよ。散々卯月さんに世話になっていながら、組員の名前と顔がまだ一致しないんだ。一日も早くみんなのことを覚えなきゃダメだな」
彼が決まり悪そうに苦笑いを浮かべた。
ともだちにシェアしよう!