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青空さんとの出会い
それから数日後。
「じゃあママ行ってくるね」
「ばいばい」
てっきり心春に泣かれると思ったけど、本人は泣くどころかけろっとしていた。
柚原さんに抱っこしてもらい、今日もニコニコ、ご機嫌だ。円花も紗智さんの腕の中ですやすやと熟睡している。
エレベーターに乗り一階のボタンを押そうとしたら、
「ちょっと待った!」
卯月さんが駆け込んできた。
「おはよう四季。どうだ仕事には慣れたか?」
「はい、蜂谷さんや青空さんのお陰でだいぶ慣れました。亜優さんも優しくしてくれます」
「そうか、それは良かった」
卯月さんが車椅子の向きを変えてくれた。
「体調はどうだ?飯はちゃんと食べてるか?」
「少しずつならなんとか」
「そうか。体調が悪いときはくれぐれも無理すんなよ。言ってくれないと分からないから、橘や柚原にちゃんと言えよ」
「はい」
「ママが笑顔なら子どもたちも笑顔になれるんだから、母親はたいしたもんだ。尊敬する。おっと忘れていた」
卯月さんが慌てて三階のボタンを押した。
「じゃあな」
爽やかな笑顔で右手を振りながらエレベーターから下りていった。
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