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青空さんとの出会い

「これ以上は借金が増えるだけですよ。うち以外にも相当借りているのでしょう」 応接室から蜂谷さんの声が聞こえてきた。 「朝から来客なんて珍しいですね」 「要注意の問題客だ。金はない。でも土地は売らない。土下座すれば許されると思っている。借りたものは耳を揃えて返さないと。ガキでも分かることだ」 青空さんが机に寄り掛かり電話機をじっと見つめていた。 「さっきから電話が鳴っている。でも一回で切れる。俺もキレていいか?」 「青空さん、それだけは駄目です。取り敢えず座って下さい。コーヒーでも飲みましょう」 「四季のコーヒーは旨いからな」 スーパーの特売品のインスタントコーヒーなんだけどな。本当のことを言ったらきっとがっかりするんだろうな。 給湯室で人数分のコーヒーを淹れていたら、応接室から男性が出てきた。丸刈りで小太りの男性だった。 「シキ、ヤケドダメ」 パソコンを操作していた亜優さんが慌てて飛んできた。 「ん?シキだと」 ドアに向かって歩いていた男性が急に立ち止まり後ろを振り返った。何かを確認するかのように顔をじろじろと見られた。

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