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青空さんとの出会い

「あ、パパだ!」 テーブルを拭いていた雑巾をポイと投げると一目散に走っていった。 「ただいま心春。いい子にしていたか?」 「うん」 「今日はお土産があるんだ。あとで食べような」 心春に紙袋を渡した。 「和真さんそれは?」 「帰りに姉さんのところに寄ってきたんだ。食べきれないからってもらってきた」 長い腕がふたりの背後からすっと伸びてきた。 「そ、青空さん。いつからそこに?」 後ろを振り返ったら青空さんが立っているんだもの。そりゃあ腰を抜かすくらいびっくりする。 「いつからってついさっきだ。甘い匂いがしたからついてきた。ひとつもらっていいか?」 「青空さんの嗅覚って犬なみに鋭いんですね。お好きなのどうぞ」 「ありがとう和真」 しゃがみこむと、心春と一緒に紙袋を覗き込んだ。 「ハチの分ももらっていいか?」 「それならヤスさんの分もどうぞ」 「もしヤスが帰ってこなかったら、俺が食ってもいいか?」 「はい」 「ありがとう。どれにしようかな」 鼻唄を口ずさみながら焼き菓子を選ぶ青空さん。心春と一緒にはしゃいでいた。

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