50 / 431
青空さんとの出会い
「あ、パパだ!」
テーブルを拭いていた雑巾をポイと投げると一目散に走っていった。
「ただいま心春。いい子にしていたか?」
「うん」
「今日はお土産があるんだ。あとで食べような」
心春に紙袋を渡した。
「和真さんそれは?」
「帰りに姉さんのところに寄ってきたんだ。食べきれないからってもらってきた」
長い腕がふたりの背後からすっと伸びてきた。
「そ、青空さん。いつからそこに?」
後ろを振り返ったら青空さんが立っているんだもの。そりゃあ腰を抜かすくらいびっくりする。
「いつからってついさっきだ。甘い匂いがしたからついてきた。ひとつもらっていいか?」
「青空さんの嗅覚って犬なみに鋭いんですね。お好きなのどうぞ」
「ありがとう和真」
しゃがみこむと、心春と一緒に紙袋を覗き込んだ。
「ハチの分ももらっていいか?」
「それならヤスさんの分もどうぞ」
「もしヤスが帰ってこなかったら、俺が食ってもいいか?」
「はい」
「ありがとう。どれにしようかな」
鼻唄を口ずさみながら焼き菓子を選ぶ青空さん。心春と一緒にはしゃいでいた。
ともだちにシェアしよう!