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青空さんとの出会い

「スプーンの持ち方がちょっと違うわね。いい」 花先生の奥さん、千世《ちよ》さんが青空さんにつきっきりで面倒をみてくれた。 「誰も取らないんだからゆっくり食べて。あらあら頬っぺに生クリームが付いてるわよ」 「ありがとう」 「いいえ、どういたしまして」 千世さんはずっと笑顔だった。 青空さんの面倒をみるのが楽しくて仕方がない様子だった。 「息子がいたんですが、高校生のとき、バイト先で知り合った柄の悪い連中と付き合うようになり家に寄り付かなくなったんです。何度も補導され、逮捕されました。今、どこで何をしているのか、生きているのか死んでいるのかも分かりません。息子にしてあげたかったことを千世は彼にしているのかも知れませんね」 花さんの顔が悲しげに曇った。 そのあと結お姉さんと櫂さんの高校生のときの話しを聞かせてもらった。櫂さんは口数が少なくあまり目立たない生徒だったみたい。一人でいることが多く、授業中は先生の話しをろくすっぽ聞かず窓から見える空をずっと眺めていたみたいだった。お弁当もしょっちゅう忘れてきて、心配した結お姉さんが櫂さんにおにぎりを作って来るようになったと話してくれた。 「あれだけ結さんに世話になっておきながら、櫂くんが浮気するなんて。信じられなかったが、昨日櫂くんのお店に行ったら、女性とカウンター席に座り親しげに話しをしていた。私が来たことにも全く気付かず、楽しそうだった。もしかしてその女性が浮気相手かも知れない」 「そうですか」 彼の表情がどんどん険しくなっていった。

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