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青空さんとの出会い

「もしかしてその女性ってこの人ですか?」 彼が一枚の写真を花さんの前に置いた。 そこには櫂さんと談笑する女性が写っていた。居酒屋で隠し撮りされたものだ。茶色がかかったストレートの髪を胸の辺りまで伸ばし、色白で透明感のある、まるで人形みたいな女性だった。丸くて大きなバストを強調するようにVネックの前開きニットを着ていた。 「あ、そう、そう。この女性だ。櫂くんに聞いたら、新しく雇ったバイトの子だと言っていたが、それなら、朝宮さんとか四季くんとか呼ぶのが普通だろう。でも、櫂くんはその女性をりりかって呼び捨てにしていた」 「女性の名前は宇野《うの》梨里花《りりか》です。櫂さんの同級生の妹みたいです」 「宇野?」 花さんが首を傾げ、しばらくの間なにやら考え込んでいた。 「クラスに宇野という男子生徒がいたのは確かだが、でも、櫂くんと同じで一人っ子のはずだ。櫂くんとは性格が真逆な生徒だった」 花さんが彼に卒業式の日にクラスで撮影したという集合写真を見せてくれた。

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